介護保険外サービスの現状と課題(2026年3月)

介護保険外サービスの現状と課題
未来への展望は

超高齢社会を迎えたわが国では、介護需要が全体として増加しており、その対応のあり方が社会的な大きなテーマとなっています。
介護保険制度(公的介護保険)は、要介護者に対する基本的な支援を制度的に保障してきましたが、制度の網が及ばない 「生活上の細かなニーズ」 を補完する役割として、「介護保険外サービス」が注目されつつあります。

まず最新の意識調査(イチロウ株式会社が実施したWEB調査)から現状を整理すると、「介護保険外サービス」の内容を「よく理解している」と回答した人はわずか15%弱にとどまる一方で、利用未経験者の40%弱は「条件が合えば利用したい」と回答するという結果が明らかになりました。
介護保険制度そのものの認知・利用率比較すると、保険外サービスへの理解が追いついていないものの、ここに 潜在的なニーズが確実に存在していることを示しています。

一方で、こうしたサービスには明確な課題もあります。
先の調査でも、「費用が高そう」「サービスの質が分からない」「どこに頼めばよいか分からない」といった不安が利用の心理的ハードルになっている点が挙げられています。
認知が進んでいないだけでなく、情報の透明性・選択のしやすさが整っていないことが、利用の拡大を妨げているのです。

さらに、介護保険外サービスの提供側にも構造的な課題があります。
現状、多くの介護事業者が訪問介護などの中で保険外支援を組み合わせて提供しているものの、価格形成やサービス内容の一貫性が必ずしも成熟しているとは言えません。
今後の市場拡大と効率性向上により、価格競争力の向上と選択肢の多様化が進む可能性も指摘されています。

一方で、介護保険外サービスが持つ社会的意義も大きいです。介護保険だけではカバーできない「急な対応」「短時間・スポット利用」「家族介護者の負担軽減」などのニーズに応えることができるほか、働きながら介護に向き合う人(ビジネスケアラー)が、介護離職を回避する支援にもつながる可能性が指摘されています。
柔軟な使い方ができる介護保険外サービスは、介護と仕事の両立を考える上で重要な選択肢になり得るのです。

今後の展望としては、まず 認知度・理解度の向上 が不可欠です。
介護保険制度の仕組みと同様に、介護保険外サービスの内容や違いを分かりやすく伝える情報基盤が求められます。
また、ケアマネジャーや地域包括支援センターなど公的支援機関が、介護保険外サービスの情報を提供・紹介する役割を担うことが、利用者の意思決定を大きく支えることになります。

加えて、事業者側では サービスの質の見える化、価格の透明化、提供体制の整備 といった視点での改善が求められます。
技術革新やデジタルプラットフォームの活用により、サービスの選択肢や利便性が高まることも期待されるでしょう。

介護保険外サービスは、まだ発展途上にある市場です。
しかし、制度だけでは補完しきれない多様な暮らしの支援ニーズに応えるポテンシャルは大きく、今後の社会的ニーズの変化とともに、形を変えながら進化していく可能性を秘めています。

株式会社 ウエルビー代表取締役 青木正人

1955年富山県生まれ。

1978年神戸大学経営学部経営学科卒業。

大手出版社の書籍編集者を経て、出版社・予備校・学習塾を経営、その後介護福祉士養成校・特別養護老人ホームを設立・運営する。自治体公募の高齢者・障害者・保育の公設民営複合福祉施設設立のコンペティションに応募し当選。 2000年有限会社ウエルビー(2002年に株式会社に改組)を設立し、代表取締役に就任。

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