2004年4月号

ウエルビーコラム 2004年4月号

増え続ける参入と撤退
パラダイムシフトを認識できない経営者は淘汰される

相変わらず 介護事業への新規参入が活発です。特に 公共事業に依存してきた建設業をはじめ 構造的に問題をかかえた産業からの異業種組みの参入意欲は旺盛です。一方 最近では 事業所登録の廃止や休止などの撤退組も増加しています。

産業界全般を見通してみても 現在 景気は上昇局面に入った との観測もなされてはいますが 輸出主体の大手製造業とそれとは関連の低い事業(特に中小企業)との景況感の格差は いっそう拡大しています。大手企業の本社が立地する中央の都市部と そうした産業の少ない地方との格差は 一目瞭然です。こうした動きは ある意味では 競争原理が働いていると見ることもできます。 自由競争や競争原理を基本的な理念とする資本主義の経済体制の下では 優勝劣敗の現象は避けることができません。

こうした経済体制下では 効率の低い企業や産業分野は 資本市場の機能によっ て 自然に淘汰されることになります。収益の上がらない産業分野や経営効率の低い企業は 株価が低迷し 必要な資金の調達ができなくなります。資金調達ができないと 事業の発展性は限定され 従業員(労働力)も集まりません。時間の経過にともなって経営は悪化し 退出を余儀なくされるわけです。  

けれども資本主義の教義には 淘汰の後に次の局面があります。淘汰された企業や産業分野の「ヒト・モノ・カネ」という経済資源が 効率の高い分野に移行するという局面です。行き詰まった企業や分野に代わって 新たに収益性の高い企業や効率のよい産業分野が出現して そこに経営資源が移っていきます。このような資源の移転が 自由にできることで 社会全体の効率性が向上することになります。

戦後の高度経済成長さらには1890年代後半のバブル期には 大きな富が創出されたため 多くの人々がその恩恵を受けることができました。そのため これまでの日本は 相対的に 個々の企業や個人間の格差が少ない社会だったといえます。私たちは このような経済環境に 長い間慣れすぎていたともいえるでしょう。しかし それは過去のことです。 「勝ち組」「負け組」の格差は 資本主義の経済体制をとる以上 不可避の現象だと認めざるをないのです。

この時代の介護事業経営者に欠かせないは “cool head” と “warm heart” つまり 「冷徹な経営力」 と 「熱い介護への情熱」 です。 しかし残念ながら このような認識や経営行動がとれない経営者=前時代型の経営者がまだ多いのが現状です。

パラダイムは もうシフトしています。

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