2006年6月号

ウエルビーコラム 2006年6月号

介護バブルは崩壊したか !?
「失われた10年」の教訓

デフレが収束を迎え トヨタ自動車の1兆8000億円を筆頭に 多くの企業が過去最高益を記録しています。バブル崩壊以降マスコミは「失われた10年(あるいは15年)」と言い習わしてきました。しかしこの間 社会・経済・環境などの基盤変化に対応するために 着実に構造改革に取り組んできた組織や企業にとっては 失われた10年などは存在しなかったのです。

だとすれば 現況を単に与えられたものと受身にとらえている企業にとっては これも 単なる景気変動の上昇局面ないしはバブルまがいでしかありえないことになります。

翻って 介護業界についても 「制度改正の結果『介護バブル』は終わった」という向きもあります。このような捉え方しかできない人間にとっては 所詮バブルでしかなったのでしょう。われわれが学ぶべきは 革新を続ける企業の成功体験であり 実行すべきはそれをベンチマークすることです。

そこで必要な マネジメントのポイントとは何でしょうか。

これからの10年は 人口減少・少子高齢化のさらなる進展が絶対的な前提です。「格差社会」という言葉が象徴するように 中流(幻想)は崩壊し 市場と企業の双方の面で 二極化がいっそう顕著に現れてくるでしょう。

三菱総合研究所は 2006年度の最も重要な経営課題は 「ハイエンド・ターゲット・ビジネスモデルの構築」と「儲かる仕組みの再構築」だと指摘しています。

「ハイエンド・ターゲット・ビジネスモデル」とは 市場の二極化にあわせて顧客のニーズごとのビジネスモデルを組み立てること つまり顧客接点の再構築と商品・サービスの革新をあわせて行うことです。「儲かる仕組み」とは 「儲ける」とは逆の視点で いかに同じ客に何度も商品やサービスを買ってもらえるかということです。

この2つの課題に取り組むには ①「事業革新」 ②「人材基盤再構築」 ③「技術基盤再構築」 の3つが必要条件です。

①「事業革新」は 制度改革に左右されない事業構造を構築すること。② 「人材基盤再構築」は ①の事業革新を担うマネジメント能力のある人材を養成すること。③は MOT(技術経営;技術を経営資源として戦略的に活用する新しいマネジメント体系)を介護事業に応用し 専門サービス(あるいは提供者)を現場の工夫や経験レベルだけに留めずに 事業革新の中核となる経営資源としてマネジメントに取り込むことです。

雑音に惑わされず 時代の要請と市場・顧客の声に耳を傾けて経営革新に取り組めば 失われるものなどありはしません。新たな10年は さらに大きな果実をもたらすはずです 。

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