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月刊コラム

2006年12月号

2006年12月号

ウエルビーコラム 2006年12月号

介護に求められる高コストの是正とは
来年度予算案から見えてくる介護事業施策のシナリオ

来年度の予算編成に向けた動きが活発です。11月24日には「経済財政諮問会議」が開催され 予算編成の基本方針案が審議されました。前政権から引き続き 安倍政権においても行・財政改革は重要なテーマになっています。そうなると 避けて通れないのが社会保障関連の歳出削減です。

同会議の『予算編成の基本方針(案)』の「平成19 年度における財政健全化への基本的考え方」の中の「社会保障」の分野においては

「少子高齢化が進展する中で 経済・財政と均衡がとれ 将来にわたり持続可能な制度を構築するため 社会保障については これまでの制度改革の効果を検証しつつ 中長期的な展望に立って 改革努力を継続し 国民が負担可能な範囲となるよう制度全般にわたり不断の見直しを行う。 平成19 年度予算においては (中略) 医療・介護サービスについては 制度を支える費用負担への納得を得る上でも その質の維持向上を図りつつ 効率化等により供給コストを低減させていくことが極めて重要であり そのための総合的な取組を計画的に推進する」とされています。

もう少し具体的な方向性は この前回(11月11日)の社会保障改革に関する集中審議で述べられています。

伊藤隆敏・東大大学院教授や御手洗冨士夫・日本経団会長などは「国民への負担増や給付削減の前に、医療・介護のコスト削減を行う『高コスト構造是正プログラム』の作成」を提案し  柳沢厚生労働大臣に対して「5年間の『高コスト構造是正プログラム』でどれだけ達成できるかの数値目標を明示し さらに毎年の目標も設定する」ように求めました。

柳沢大臣は「金額の話だけでなく 必要な制度改革を積み上げていく形しかない。コストを是正する項目案を提示したい」と返答しました。 これを受けて 安倍首相は「高コストの是正は不可欠。厚生労働大臣には 高コスト構造是正プログラム作りに取り組んでいただきたい」と指示しました。

この「高コスト構造是正プログラム」とは 以下のようなものです。
① 平成19年度から5年間の計画とする
② 国1.1兆円の改革努力のうち 5年間の同プログラムによりどれだけ達成できるかの数値目標を明示する
③ コスト削減やサービスの質向上に関する毎年の目標を設定し PDCAサイクルのもとで上記②を達成する
④ 医療については 例えば次のような施策が必要ではないか
・ 診療報酬体系の見直し(包括払い原則の確立等)
・ IT化(電子カルテ化・レセプトオンライン化・ネットワーク推進等)の徹底と医療の標準化に向けたデータ整備
・ 重複・不要検査の是正や後発医薬品の使用促進
・ 公立病院の高コスト構造是正
・ 社会的入院の解消   など
⑤ 介護については 例えば次のような施策が必要ではないか
・ 介護施設経営への参入促進と社会福祉法人の改革
・ 介護専門職の業務内容の高度化・省力化   など

介護についての内容を読み解くと 次のようになります。

「民間活力の導入を徹底化し 企業や医療法人の介護施設経営参入を促進する」「企業と競争できる社会福祉法人の育成のため規制改革を進める」「その代わりに応分の税負担を求める」などの社会福祉法人の改革を徹底させる(10月の月刊コラム参照)。

介護専門職の業務内容の高度化・省力化については「在宅におけるホームヘルパーの業務は医療行為にかかる部分があるため制約されているので 看護師業務の一部を開放するとともに 看護師も医療業務の一部に参入する形で 省力化と生産性の向上を図る」というものです。

また 医療の施策で述べられている「包括払い原則の確立」は 介護分野でも同様で たとえば「訪問介護における時間単位から行為別・機能別報酬=パッケージ報酬への転換」など介護報酬の包括化(丸め)は一層進展していくものと思われます。

介護が高コストなのは 果たしてどこに原因があるかの議論は この稿では置くとして 経営者たる者 近未来のシナリオを事業計画に織り込んでおくのは 当然の責務といえます。

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