2011年3月号

ウエルビーコラム 2011年3月号

「悪しき横並び」が質の向上を阻害
保険者だけでなく事業者も意識改革を

2月25日「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」の報告書が公表され 介護保険法改正案に盛り込まれる「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」の概要が明らかになりました。
同じく 改正法で新類型サービスとして創設される予定の「複合型サービス」とともに 地域密着型サービスに区分されることが適当とされました。

同報告書では「事業所の指定については 個々の日常生活圏域におけるニーズや地域特性等に応じて 利用者及び事業者双方にとって安定的なサービス提供が確保されるよう 市区町村が一定の裁量のもと 利用者の事業者選択の自由の確保の視点も踏まえながら 計画的に行うことが重要」とされています。

今後も 保険者である市町村への権限移譲や裁量権の拡大は進むものと思われます。
そこで懸念されるのが 利用者ニーズや介護保険の理念を理解しない一部保険者による 誤った規制です。
しばしば問題となる「ローカルルール」がその心配を裏付けています。

しかし問題はローカルルールそのものではなく 指導や規制の妥当性にあります。
地域性を考慮すれば ローカルルールが存在するのは 当然だといいえます。
そこは 保険者がその責任を自覚したうえで 研鑽努力を重ねてもらうことが必要です 。

一方 事業者や利用者には「悪しき横並び」意識を変革することが求められます。
「地域包括ケア研究会」の座長を務めた田中滋慶應大学大学院教授も「地域包括ケア研究会報告書」の意義について「全国一斉にこういう仕組みをつくるのは大変ではないですかとの質問も受けます。 たしかに大変です。不可能です。先進地域ができて 2025年までの15年間にだんだん広がっていけばいい。 ある日突然、全国に展開するという考え方をとる限り 地域包括ケアはできないです」と介護保険部会で発言しています。

誤解を恐れずに言えば「地域格差」や「事業所格差」はあって当然。
先進事例は 既存のサービスを大きく凌駕するものでなければなりません。
「底上げ」という名の横並びや悪平等は 質の向上を阻害するものだ ということを肝に銘じてほしいものです。

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