2013年6月号

ウエルビーコラム 2013年6月号

職業人の自律はプライドが支える
大規模化インセンティブで訪看は増えるのか!

29日「中央社会保険医療協議会」(会長:森田朗・学習院大学法学部教授)の総会が開かれ 2014年度診療報酬改定に向け「在宅医療」をテーマに 訪問看護や薬局による在宅業務 について議論されました。
事務局は 訪問看護について「2012年度診療報酬改定結果検証に係る調査」の結果等をもとに 患者が訪問看護うえで 看護職員5人以上の訪問看護ステーションが増加傾向にあるとともに 大規模な事業所ほど がん末期や神経難病などの頻回訪問が必要な重度者を多く抱えているとの認識を示し 大規模化を評価する主旨の提案を行いました。

厚生労働省と日本看護協会は 相も変らぬ「規模拡大路線」一辺倒ですが 訪問看護の供給不足に奏功したことはありません。
これに対し 多くの委員からは相次いで「単純に規模を大きくすれば良いという問題ではない」「規模ではなく各訪問看護ステーションの機能を評価したり 連携やネットワーク化を進めるのが大事」といった否定的な見解が示されました。

「看護教育」第52巻5号(医学書院)掲載のインタビュー で 見藤隆子・元日本看護協会会長は 看護の価値が日本では低く抑えられてきた歴史があるとし「学生時代 看護を学ぶ者としてプライドを持つことができませんでした」
「自分たちは医学より一段低い学問を学んでいるという劣等感を感じずにはいられなかった」と述べています。
しかし 臨床心理学者のカール・ロジャースのカウンセリング手法やナイチンゲールの『看護覚え書』の言葉によって 看護師が求められているのは「さまざまな患者さんを彼らが生きている同じ地点からみること」「他人の感情のただなかに自分を投入すること」を学んだといいます。
その結果「プライドを持って教育された人が職業人として自律できるのだ」と気付かされたそうです。

在宅ケアや在宅療養の切り札と言われつづけながら いっこうに不足感が解消されないという現実を直視し 真に市民・利用者のための施策を実施しようとするなら「評価」という名の報酬アップに頼るのではなく この見藤氏の発言をかみしめてみることが必要なのではないでしょうか。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

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