2013年9月号

ウエルビーコラム 2013年9月号

真に産業の牽引車になるために
老人福祉・介護の雇用が全産業中の首位

先月末 総務省と経済産業省は「2012年経済センサス・活動調査」の確報を発表しました。
この調査において「老人福祉・介護」が 従業員数で179万人と全業種(産業小分類)中の首位となりました。
介護事業の雇用創出力・吸収力の高さが あらためて証明された形です。

「経済センサス」とは 経済構造統計を作成するために5年ごとに総務省・経済産業省が共同で行う調査です(センサス[census]は全数調査のこと)。 全産業分野の経済活動の状況を同一時点で網羅的に把握するため「経済の国勢調査」ともいわれます。
このほか「病院」(175万人)・「一般診療所(開業医)」(91万人)も上位に入っています。
アベノミクスの成長戦略が 医療・介護を柱に位置付ける所以です。

一方 売上高をみると従業員が多い割に売り上げ規模は小さく 全産業中54位と 生産性の低さが浮き彫りになっています。
さらに 従業員1人あたりの付加価値額(企業が1年間に稼ぎだしたもうけ)をみると 銀行が1,656万円・生命保険は1,235万円に対して 病院でも517万円 老人福祉・介護では293万円にとどまり上位のほかの業種に大きく見劣りしています。

「医療・介護は成長産業」ともてはやされるのは結構ですが 斜陽産業からの労動力移転によってワ-キングプアのたまり場となるようでは活力が生まれるはずはありません。
名実ともに産業の牽引車となるためには 社会保障財源を当てにした制度頼みビジネスから脱皮することが必要です。

今後増大かつ多様化するヘルスケアニーズを活かして新たなビジネスモデルを創出するためには 政府・自治体には規制改革を 事業者には柔軟で革新的なイノベーションが求められます。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

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