2014年6月号

ウエルビーコラム 2014年6月号

地元愛が地域包括ケアを動かす
地方も首都圏も「一極集中」から脱却

5月上旬「日本の人口が減ると 2040年には全国1800市区町村の半分の存続が難しくなる」というニュースを報道各社が取り上げました。
有識者らでつくる政策発信組織「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会(座長:増田寛也元総務大臣)の試算を受けてのものです。
同分科会は 国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口のデータを基に 2040年の20~39歳の女性の数を試算し 2010年と比較して半分以下に減る自治体を「消滅可能性都市」と定義しました。
その結果 全国の49.8%に当たる896市区町村が該当するというショッキングな明かされました。
消滅可能性都市は 北海道や東北地方の山間部などに集中していますが 青森市や秋田市など県庁所在地 さらには大阪市の西成区や大正区 東京都豊島区のように大都市部にも分布しています。

「人口減少は 地方だけの問題であって都市部は人口も減っていないし 大丈夫ではないか」という疑問に対しては「都市部(東京圏)も近い将来本格的な人口減少期に入る。 地方の人口が消滅すれば 都市部への流入人口がなくなり  いずれ都市部も衰退する」としています。
そのためには「地方から大都市へ若者が流出する『人の流れ』を 変え『東京一極集中』に歯止めをかける」必要があるとしています。

5月31日付の日本経済新聞(夕刊)に「地元愛を育む」という 地域デザイナーの傍士銑太(ほうじせんた)さんのインタビューが掲載されていました。
「(地元愛とは)地元への愛情や誇り さらには帰属意識といったもの。自分は何者かというアイデンティティーにも関わる問題です。地元愛が薄れると 地域で何か起きても誰も動こうとしなくなる。みんな一緒で家族みたいなもの。そんな意識が膨らめば コミュニティーもちゃんと機能するんです」
「地方はダメで 東京は何でもあるという時代は 今は昔。これからは都会と地方がつながることが重要です」 と語っています。
地域振興の観点からJリーグ運営にも関わった傍士さんは プロ野球も「北海道」「千葉」「東北」という地域名を冠した球団が地元密着路線を打ち出し 新たなファン層の掘り起こしに成功してきたと述べています。

多くの市町村から「地域包括ケアといわれても当地ではきわめて困難」「互助による生活支援は絵に描いた餅」といった声が聞こえてきます。
行政も事業者も地域・コミュニティを構成する「人」の存在に もう一度思いをはせてみましょう。
「~べき」ではなく「~なりたい」という私たちの思いをコミュニティ全体でシェアできれば ため息ばかりの将来とは決してならないはずです。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

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