2015年5月号

ウエルビーコラム 2015年5月号

保守的なマネジメントは棄てる
Buurtzorgのナースから学ぶこと

過日 「地域包括ケアステーション実証開発プロジェクト」 のワークショップに参加してきました。
Buurtzorg Nederland から ナースでありコーチをしているGertjeと 現場のナースのYvonne・Madelonの3人がやってきて Buurtzorgの組織と「玉ねぎモデル」と呼ばれる特徴的なケアモデルの解説 さらには認知症を想定した在宅ケアのケースワークを体験しました。現場のナースたちの生の声を詳しく聞けたことで 新たな発見が生まれました。

Buurtzorgには注目すべき点は多々ありますが 組織論からいえば「組織全体が階層構造を採っていない フラットなセルフマネジメントチームであること」さらには「各チームにもリーダーはおらず 全てのナースがリーダーシップを発揮することが期待されている」という点が際立っています。
以前 Buurtzorg代表のJos de Blok 本人に「『中間管理職』大国の日本では にわかには信じがたい」と話したところ「マネジメント自体 日々進化している。メンバーを信じて任せることが大切だ」と答えてくれました。

今回のセッションでも コーチのGertjeが「自律した(autonomous)ナースが高いレベルのケアを提供することで効率性(efficiency)と持続可能性(sustainability)を実現している」と話しました。
そこで「日本では ケアの標準化(the standardization of the care)が効率性を高めるとされているが Buurtzorgは そういった考えを否定しているのか。あるいは 質の高さで日本の常識を凌駕してるのか」と質問してみました。  

彼女は「自分たちは『ケアの標準化』を否定しているのではない。『古い ないしは これまで標準とされてきた組織』(traditional or standard organizations)を否定しているのだ」と答えてくれました。
彼らの真骨頂を垣間見ました。

日本では 看護師が起業に後ろ向きであったり 介護職が昇進・昇格を望まないという おかしな風潮があります。
彼ら曰く「利用者(患者)と向き合ったり寄り添ったりするのが 専門職である自分の希望。現場から離れた事務仕事はいや。マネジメントはしたくない」と。

しかしBuurtzorgでは 利用者の自立を支援し 満足度を高めるために「分業」を否定し 一貫して利用者にかかわっていきます。
であるからこそ 彼ら自身が 全てのプロセス(利用者・ナース・計画・教育・財務・あらゆる連携・調整業務)をオーガナイズし 責任を負っている(organize and are responsible for the complete process)のです。

彼我の差は 専門職の自覚だけの問題ではありません。
組織のトップ・経営層が 組織やマネジメントの進化に敏感で 職員に役割と責任は変化・成長していくものだという点を伝えきれていないことが最大の問題です。
職員の質を嘆く前に 自らを革新させていきましょう。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

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