2016年7月号

ウエルビーコラム 2016年7月号

「内向き志向」ではなく「内なる声」に耳を澄ます
英国EU離脱・米国トランプ旋風から見えてくるのは

英国の国民投票によるEU離脱や米国の大統領選挙におけるドナルド・トランプ氏の人気ぶりなど 世界的な「内向き志向」が大きく取りざたされています。

6月19日、英国民が23日にEU離脱を選べば、欧州の歴史は逆回転を始めるかもしれない。写真は離脱を支持するバナーを掲げる人々。ロンドンで15日撮影(2016年 ロイター/Stefan Wermuth)

 6月19日、英国民が23日にEU離脱を選べば、欧州の歴史は逆回転を始めるかもしれない。写真は離脱を支持するバナーを掲げる人々。ロンドンで15日撮影(2016年 ロイター/Stefan Wermuth)
国際政治学者の六辻彰二氏は「『グローバル化への反動』が各地で生まれる状況からは 世界が新たな秩序の『産みの苦しみ』の時代に入ったことを見出せる」と分析しています。
その理由に「不安定な状況のなかで『海外との付き合いを制限することで自国の利益を確保する』動きは 少なくとも先進国では『海外との付き合い』を前提とする既存のシステムの下での利益が期待しにくい個人ほど広がりやすい」という点を挙げています。

では この「既存のシステムで損なわれる利益」とは何なのでしょうか?
「移民の増加によって職を奪われること」や「債務危機に陥った国への経済的負担が増えること」など 自国や自身の経済的不利益に目が向いていることは明らかです。
損得感情という「内」側の論理が グローバリゼーション(globalization)を否定してるように見えてきます。

しかし 真の意味での「グローバル化」とは 世界を構成する国や地域 国民や住民そして個々人が 国境という人為的な境界を越えて緊密なつながりを持っているという事実を認識した結果ではなっかたでしょうか。
私たちすべてがエコロジカルな関係性のもとで生きているという事実から目を背けて 短期的エコノミカルな判断基準だけで意思決定を行うというのは「内」を見ているとはいえません。

私たちの「内」には 目先の「得・楽・快」を追い求めたいという欲求と同時に その先にある「幸」を希求する強い意欲が見えてきます。
私たち自身の「内」なる声にほんとうに耳を傾けると「内向き志向」のもたらす未来が 決して「見たくない未来」であること気がつくはずです。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

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