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月刊コラム

2016年9月号

2016年9月号

ウエルビーコラム 2016年9月号

多数決を超えたコンセンサス形成のプロセスを
代議制デモクラシーから討議デモクラシーへ

介護保険制度の見直しを目的とする社会保障審議会介護保険部会は 8月末で1巡目の議論を終えました。
第62回の同部会では「被保険者の範囲の拡大」という議題のもと「高齢者の介護保険から介護保険制度の普遍化へ」というテーマについても意見が交わされました。
「財源のあり方も含めて国民的な議論が欠かせない。早く始めないと間に合わない」という主張もあれば「影響はかなり大きく この部会だけで決められる話でもない」という意見も出されました。
たしかに 介護保険部会だけ あるいは介護保険制度だけに担わせられるようなテーマではないのは確かです。
しかし では「誰が」「いつ」「どこで」このテーマを話し合うのでしょうか。
介護保険制度という枠組みの中に 議論の端緒があってもいいはずです。

「討議デモクラシー」 という考えがあります。
これまでの代議制によるのではなく 小集団に十分な情報を伝えたうえで討議を行い 政策などを決定していくというものです。

従来型の「代議制デモクラシー」においては 実際の話し合いをするのは たとえば議員であり 市民は選挙などの方法を通じて間接的に話し合いに参加します。
選挙というシステムは 一人ひとりの意思決定の総和つまり「たし算」といえます。
近年「どのようなまちづくりを進めるのか」「どのようなシステムで地域を支えていくのか」などといったテーマについて 市民もまた「話し合い」を行い その結果を政策に直接的に反映しようという動きが活発になりつつあります。
このような「討議デモクラシー」においては 政治システムだけではなく 市民社会においても充実した話し合いが行われることになります。
単なる多数決を超えたコンセンサス いわば「かけ算」が重視されるようになったといってもいいでしょう。

このような「討議デモクラシー」が成立するためには
 ○ 人々の意見が話し合いの過程で自由に変化しうること
 ○ 話し合いの過程により合意が形成されること
 ○ 決定の正統性は 話し合いの過程における手続きの正当性に依拠すること
次の3つの条件が満たされている必要があると考えられています。
 この3つのの条件は すべて話し合いの「プロセス」に関するものです。

パラダイムが変化しつつある今 国民・市民のあり方にかかわる政府の重大な意思決定において何より重要なことは このような「プロセス」をどう担保するかにかかっている と旧来型の審議を聞きながら 強く意識させられました。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

※このコラムは「ファシリテーションの社会学」(日本経営協会 行政本部 公務協力グループ)を参考とさせていただきました。

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