2016年12月号

ウエルビーコラム 2016年12月号

社会保障を世代間分断の火種にするな
「年金カット」法案審議の嘆かわしさ

米国では 次期大統領に “America First” を標榜するドナルド・トランプ氏が決定したことで「内向き」や「分断」の懸念が広がっています。
しかし わが国でも社会保障のあり方をめぐって「既得権第一」あるいは「高齢者第一」を声高に主張するかのような野党の動きが目につきます。
今国会の重要法案のひとつである「国民年金法改正案」がまさにそうです。
民進党は 同法案を「年金カット法案」と批判し 衆議院厚生労働委員長の解任決議案や厚生労働大臣の不信任決議案を提出するなど抵抗していますが 審議の過程で 法案の中味を国民に明らかにするという責任を果たしているとは とうてい思えません。

今回の改正のポイントは
○インフレ時には発動(引き上げ)できてもデフレ時に発動できなかった「マクロ経済スライド」の仕組みの見直し 引き下げを分を繰り越して物価上昇時に実施する
○現役世代の賃金下落に合わせて年金額を下げるルールの徹底
という点です。

年金を受け取っている高齢者にとっては厳しい内容ですが このままでは 今年金を多く支給するとその分将来にしわ寄せがおよんで支給額が減るという設計になっています。
「ひとつの羊羹を 今の高齢者と将来の高齢者の間でどのように切り分けるか という羊羹の切り方の問題」(川端邦彦 全日本自治体退職者会事務局長)なのです。


権丈善一 慶應義塾大学商学部教授のホームページから引用)

賃金や物価が下がるような経済状況下では 高齢者にも少しは我慢してもらって できる限り将来世代の年金を減らさないという発想が必要ではないでしょうか。
でなければ 無用な世代間の分断が生まれかねません。
このような長期的な課題には 与野党を問わず 政争の具とせず国民的な議論を深める姿勢がなによりも重要です。
与党は多数におごらず 国民に向けた丁寧な説明が求められ 野党には駆け引きではなく 将来に渡る国民の利益第一にした論戦を挑んでもらいたいと願います。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

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