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月刊コラム

2019年8月号

2019年8月号

特定処遇改善加算で得るもの、失うもの!?
国民と事業者の自律と幸せをめざして

今月末の締め切りを控えた「介護職員特定処遇改善加算」。 7月26日付の「シルバー新報」は「都道府県にも相当な数の質問が寄せられていることがうかがえる。すでに職員に説明をした事業者もあれば、まだ制度の解釈に四苦八苦しているところなど様々だ」と伝えています。

実際に弊社のクライアントの多くも、新処遇改善をどう活かすか苦心しています。
鳴り物入りで打ち出された施策は、当初「1人8万円月額賃金アップ」「年収440万円」という数字が独り歩きしていました。
現在では「全員が8万円アップするわけではない」という認識は広まってきたようです。
しかし「介護職員以外の専門職はどうするか」や「職場内に不公平感が生ずる」そして「事業所から持ち出しが生じるのでは」といった悩みが、経営者・管理者から聞こえてきます。

そもそも、「特定」という言葉が冠されているのは、この加算が生まれた根拠となった政府の「新しい経済政策パッケージ」(2017年12⽉8⽇閣議決定)において、「介護人材確保のための取組をより一層進めるため、経験・技能のある職員に重点化を図り」という目的が示されているからです。
つまり、押しなべて「平等」にではなく、「メリハリ」を聞かせた処遇の実現をめざすものなのです。
すべての職員の賃金レベルが事業者ではそうはいかないと言われますが、この加算以前に、マネジメントのレベルアップという課題に取り組むべでしょう。

さらに大きな問題は、処遇改善加算自体が「麻薬」のような副作用を及ぼしていることです。
介護職員処遇改善加算が誕生した2011年には「処遇改善交付金を加算とし、支給対象や支給方法を細かく縛る案には強く反対します。介護保険の目的は措置からの脱却でした。収入の使い道を事細かに決めて、それを公的に監視するような体制は非効率なシステム管理費用の上昇を招きます。また、働く人同士の連帯や働く方を縛る非近代的な状態の後戻り案になりかねません」(第86回社会保障審議会介護給付費分科会・2011年11月24日)という至極まっとうな議論が行われていました。

ところが現在では、「全産業の平均(賃金)を1つのメルクマールとして、引き続き処遇改善に取り組むべき。事業所ごとに1人だけでは不十分」(第79回社会保障審議会介護保険部会・2019年7月26日)と、打って変わって処遇改善加算がなければ経営が成り立たないと訴えるという残念な状況に陥ってしまっています。

「介護職員の根本的な処遇改善を実現するためには…事業者の自主的な努力を前提とした上で、事業者にとって安定的・継続的な事業収入が見込まれる、介護報酬において対応することが望ましい。介護職員の処遇を含む労働条件については、本来、労使間において自律的に決定されるべきものである…例外的かつ経過的な取扱いとして設ける」(平成24年度介護報酬改定に関する審議報告・2011年12月5日)とした原点に戻らないと、この国の介護事業に未来はないと言っても過言ではないでしょう。

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株式会社ウエルビー 
 代表取締役 青木正人

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