2021年6月号

高齢者の孤立、生活機能低下を防ぐ取組み
オンライン「通いの場」が希望の光に

新型コロナウイルス感染症の長期化に伴い、高齢者の社会的孤立や生活機能悪化など健康二次被害の深刻化が危惧されています。
そうした懸念を払拭するべく、全国各地で新しい取組みが始まっています。
その一つに、千葉大学、松戸市、日本老年学的評価研究機構などと住民、ボランティアが取り組む「松戸プロジェクト」があります。

このプロジェクトは、都市部で社会参加を促すまちづくりと介護予防の学術的評価を2016年度から行っています 。
コロナ禍の2020年度は、研究課題として
①人間関係が希薄な都市部で地域づくりによる介護予防は可能か
②コレクティブ・インパクト(様々なプレイヤーが共同して社会課題解決に取り組み、効果を最大化するためのスキーム)と科学的根拠に基づいた取組は有効か
③ICTを活用した新しい介護予防施策により 健康二次被害を防げるか
を掲げ実証を行ってきました。
【オンライン無料講習会のチラシ】

具体的には、オンラインにおる「通いの場」を企画、導入しました。
無料体験講習会には、過半数がタブレット操作未経験の24団体146名が参加しましたが、大部分がプログラムを完遂し、新規感染症罹患の報告もありませんでした。
終了直後の調査では、回答者77名中, 10名(14.3%)がスマホ・タブレットを新規購入しました。
参加前後でタブレットを使える者は42名(54.6%)から63名(81.9%)に増え、 59名(76.6%)が楽しかったと回答しています。
今後もオンライン「通いの場」を自分たちで出来ると回答した者は65名(84.4%)にも上っています。
さらに、終了後の16団体中、 9団体(56.3%)がオンライン活動を継続または準備中だと報告されています。
参加者からは「根気強く教えてもらい嬉しかった」「自分が使い方を学び、引きこもっている仲間にオンライン利用を広げたい」「通いの場へのタブレット導入を決めた」などの声がありました。

また同様の観点から、ICTを活用したフレイルの予防プログラム開発では、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターが「オンライン通いの場」アプリをリリースし、だれでも自由に閲覧・ダウンロードができます。
行きたい場所を設定して、おすすめの散歩コーが検索・登録できる「おさんぽ支援」や、自治体が提供する体操動画を検索できる「自宅でできる体操」、フローチャートに基づいて自分に適した運動・活動を見つけることができる「健康チェック」など、さまざまなコンテンツがあります。
多くの通いの場が閉鎖されている現在、オンラインで自己管理をしながら、手軽に運動や健康づくりに取り組める工夫です。

コロナ禍は、重症化リスクの大きい高齢者にとって、生活全般の不自由さを強いています。ワクチン接種のスピードアップに加え、各地、各セクターで進行している知恵と工夫が、困難な時代に希望を与える光を垣間見させてくれます。

                                  株式会社ウエルビー 
                                  代表取締役 青木正人

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