2019年4月号
介護保険を創り、持続させる熱意と協働
平成生まれの共有財産
本日、新しい元号「令和」が発表されました。
残すところひと月となった平成の30年間は、介護保険20年間の歩みと多く重なります。
平成12(2000)年4月1日、豊島区の高齢者在宅サービスセンター「山吹の里」で、当時の小渕恵三首相が「国民の老後の不安を解消するための最大の対策だ」と介護保険制度の船出を高らかに宣言したことを思い起こします。
厚生労働省老健局長などを歴任した中村秀一 国際・アジア健康構想協議会座長は「アジア健康構想」(AHWIN:Asia Health and Wellbeing Initiative)のウェブサイト中の”Japan’s Welfare for the Elderly: Past, Present, and Future” (「日本の高齢化に伴う高齢者福祉施策の変遷」)において、
“The introduction of the long-term care insurance system was in fact a paradigm shift from a system in which seniors received whatever services were approved and assigned by the government to one in which they were able to choose and contract the services themselves.”
―事実、介護保険制度の創設は、措置制度からサービス利用を選択し直接契約することができる制度へのパラダイムシフトだった。
と述べています。
高齢者介護・自立支援システム研究会座長、社会保障審議介護給付費分科会長などを歴任した大森彌 東京大学名誉教授は「介護保険制度は、全ての人々の熱意と協働によって創られた、かけがえのない日本国民共有の財産である」(『介護保険制度史』)と記しています。
この介護保険制度草創期に湧き起こった「ある種の」熱狂は、往時を知る者にとって感慨を伴って思い出されるのではないでしょうか。
持続可能性が取りざたされる介護保険制度が、令和の時代にも「かけがえのない」仕組みであるためには、「熱意と協働」がなにより求められています。
株式会社ウエルビー
代表取締役 青木正人