2005年6月号

ウエルビーコラム 2005年6月号

事業者淘汰の時代の始まり
プライオリティのない事業者に未来はない

介護保険法の改正論議では 介護給付費の大幅な伸長が国家財政を圧迫するとして 大きな論点になりました。2000年の制度発足当初は 3.6兆円だった総費用は 今年度に6.8兆円と ほぼ倍増。毎年10%以上の伸びを示しています。

このように総論的には 介護市場は今後の10年間も急速に拡大し 有望な事業分野であることは疑いがありません。そうなると新規参入の増加によって競争が激化するのは  必然的な現象です。その結果 事業所ごとの収益の伸びが 低下あるいは減少に転じるという状況が生まれてきました。

この1年(2005年1月審査分(04年12月サービス分)と前年同月対比)の主な在宅の事業動向を比較してみると 次のようになります。

訪問介護は 事業所数が19,339から 22,852へと18.2%増加。それに対し 利用者数は1,122,000人から1,242,000人へと10.7%の伸び。売上は 566億円から602.9億円へ6.5%のプラス。その結果 1事業所当たりの人数は58.0人から54.3人へ 6.3%の減少。1事業所当たりの収入も292.7万円から 263.8,万円へ9.9%減となりました。

通所介護も 訪問介護と同様に 利用者数・収入は伸び(それぞれ12.6%・18.1%増)てはいるものの それを上回る事業所数の増加(21.0%)のため1事業所当たりの人数は 6.9%の減少。1事業所当たりの収入もマイナス2.4%となっています。

福祉用具貸与は 1事業所当たりの件数が1.2% 1事業所当たりの収入は0.9%増と かろうじて前年を上回っていますが その前年対比(04年1月-03年1月)の それぞれ8.6%と10.4%という増加率を大きく下回ることになりました。

既存の事業所が 先行者のプライオリティ(優位性)を持っているとすれば この数字は新規参入が年々困難になっているという状況であろうと推測されます。また 先行して事業を展開しているにもかかわらず 自社資源を有効に活用できない あるいは優位性を確立できていない事業者は 苦境に立たされているということでもあります。

産業化が進展してきた介護事業の世界が いよいよ淘汰の時代を迎えたのです。「理念」と「戦略」を併せ持っていなければ 事業に明るい展望は開けません。勝ち残り・選ばれる事業者となるための指針を示す という弊社の使命の重要性を 一層強く感じざるを得ません。

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