2005年1月号

ウエルビーコラム 2005年1月号

経営者の誓い・介護者の誓い
プロフェッションとしての倫理と責任

激動を予感させる2005年がスタートしました。新年早々 ノロウイルスの感染拡大や不正受給による事業所廃止・老健施設の破産といったニュースが伝えられています。

医師の職業倫理として象徴的なものに「ヒポクラテスの誓い」があります。古代ギリシアのヒポクラテス(Hippocrates 前460~375年頃)は 患者の病状を客観的に観察し 経験を重んじ治療することで それまで呪術の域を出なかった医術を科学のレベルまでに高め「医学の祖」として崇められています。 彼の学派に入会する人に誓わせたとする「誓詞」は 医師たちの倫理の経典として 最近まで 医学校の卒業式の際に朗読されていました。 おおよそ以下のような内容です。

「医業にたずさわることを許されたからには 全生涯を人道のために捧げる 恩師に対して尊敬と感謝を捧げる 良心と威厳をもって医を実践する 患者の健康と生命が第一の関心事である 患者の打明けるすべての秘密を厳守する……以上は自由意志によりまた名誉にかけて厳に誓うものである」

同様に看護師には「ナイチンゲールの誓い」があります。もちろん この誓いは当時の医療状況の中で考えられたもので 患者の人権や自己決定権の尊重といった観点からすると 一部の内容は古くなり 現代では通用しないものもあります。しかし プロフェッションとしての倫理や責任は いつの時代にも 根底に厳として存在すべきものです。 また介護・医療・看護の現場だけでなく マネジメントのプロたる経営者にも不可欠です。

P.Fドラッカーは 次のように述べています。 「経済的な業績こそ 企業の第一の責任である。少なくとも資本のコストに見合うだけの利益をあげていない企業は 社会的に無責任である。社会の資源を浪費しているにすぎない。業績をあげられないのでは 企業は他のいかなる責任も遂行できない。よき雇用者にも よき市民にも よき隣人にもなれない」

営利企業だけでなく 社会福祉法人についても 社会が負担してるコストに見合ったリターンを地域に還元できているかどうか と読み替えれば通用する言葉です。

年頭に 介護サービスに携わるものとして また事業の経営者として 今一度思いを新たにすることは意義深いことではないでしょうか。

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