2004年7月号
ウエルビーコラム 2004年7月号
どうする要支援・要介護1への給付制限対策
在宅系事業者もリハビリ・予防介護用サービス開発が急務
7月2日付けの日経新聞で 予想されていたとはいえ 衝撃的なニュースが流れました。マーケットの反応はすばやく 訪問介護大手の株価は 軒並大幅なダウンとなりました。
「厚生労働省は来年の介護保険制度改革で 介護サービスの再編を打ち出す。介護度が比較的軽い『要支援』と『要介護1』の人向けに 筋力強化や食事改善指導など介護予防のためのメニューを新設する一方、炊事や洗濯など単純な家事援助は原則としてサービス対象から外す方向。介護メニューは重度の人に対象を絞り 軽度の人でもすべてのサービスを利用できる現状を改める。高齢者が自力で健康に生活できるようにすることに力点を置き 保険の負担と給付の膨張に歯止めをかける狙いだ。2000年度に始まった介護保険制度は法律で施行5年後に見直すことになっている。厚労省は7月下旬にまとめる社会保障審議会の部会報告書に予防重視の考えを盛り込み 秋に改革案をつくる。来年の通常国会に法案を提出し2006年度の実施をめざす。 (日本経済新聞)」
この報道は 行政が意図的にリークした「観測気球」的な報道とも考えられます。しかし 6月28日の社会保障審議会介護保険部会で示された「制度見直しの基本的な考え方(案)」にも次のような記述があります。
●軽度者については…生活支援(特に「家事代行」)型の訪問介護・通所介護・福祉用具貸与等の割合が高くなっている。…軽度者の改善率は低く予防効果を示していないのではないか
●痴呆高齢者の増加に伴い「痴呆ケア」に資源を重点的に投入していくことになり…軽度者については「予防介護」の観点からできる限り給付を効率化していくことが求められている
これらが 介護保険制度改革の既定路線となっていくのは ほぼ間違いないでしょう。 となると とりわけ在宅系事業者は すべからく事業の見直しあるいは新サービスの開発が不可欠となります。
とりわけ大きな課題は 現在新メニューとして取り上げられているサービスは 在宅の介護事業者の不得手とする医療系サービスがほとんどだということです。しかし ここから目をそらすわけにはいきません。
利用者ニーズと制度のめざす方向性をしっかり把握し 自社サービスを開発できるかどうか つまり マネジメント力の差が 事業者の明暗をわけることがはっきりしてきました。