2007年10月号
ウエルビーコラム 2007年10月号
お天道さまは見ています
この国の不幸は公の意識の欠如
東京都足立区で 区立小学校の校長らが区や都の学力テストで児童に正解を誘導するなどの不正を行ったことが発覚しました。その結果 同区では来年度から学力テストの成績の伸び率に応じて学校予算を配分する制度を廃止する方針を示しました。
「成績を予算に反映させることが過度の競争意識をあおり 今回のような不正を招きかねないと判断した」からだと報道されています。
しかし この制度の導入によって 足立区の児童の学力が向上したとするデータも示されています。テストの成績で予算配分することの是非と校長が不正をはたらいたことは別次元の問題ではないでしょうか。正すべきは 公正な競争を促す制度運用上の問題と なにより学校長をはじめとする学校管理者の意識にあるはずです。
今の日本に欠けているのは「公(おおやけ)」 の意識ではないでしょうか。その最たるものが 政治家や官僚・役人の不正ですが これにとどまるものではありません。官は公の一部ではありますが 公=官ではありません。公はもっと広い概念です。「世間さま」や「お天道さま」という言葉を思い浮かべていただくといいでしょう。また 英語の‘public‘をあてはめてもよく分かるでしょう。酒場の「パブ」やゴルフの「パブリックコース」の「パブ」が「パブリック」を表しています。
校長以下の教育者に公の意識が著しく欠如していることが この国と子どもたちの未来の最大の不幸です。
われわれが携わっている介護保険市場も私企業が支えていますが その活動は公的なものだということがご理解いただだけるでしょう。
経営者として またそれ以前に人としての倫理観や道徳観が確立されていなければ 公的な存在である社会の成員とは認められないということです。
「お天道さまが見ているよ」 という われわれの先達からよく聞かされた言葉を 今一度かみしめてみましょう。