2010年4月号

ウエルビーコラム 2010年4月号

「誰一人取り残さない」未来の創造
2030年の持続可能な発展目標

安倍内閣の「新3本の矢」の評判が芳しくありません。
「1億総活躍社会」というスローガンで
「2020年の名目GDP600兆円」「合計特殊出生率1.8」「介護離職ゼロ」
を達成するということができるのか という疑念に満ちた声が聞こえてきます。

一方 スケールという点においては「新3本の矢」以上に野心的な目標を 国連が掲げようとしています。
“SDGs:Sustainable Development Goals”(持続可能な発展目標)です。
「誰一人取り残さない」(no one will be left behind)を基本理念に 2030年の世界を見据えた新たな指針です。
17分野・169項目という多岐にわたる目標で 途上国だけでなく 先進国も生産・消費のあり方を変える必要があるなど 人々のライフスタイルにまで踏み込んだ大胆な挑戦といえます。

ポスト2015年を考える 4つの領域

2015年9月25日の第70回国連総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」の前文は 次のように述べていいます。

「このアジェンダは 人間・地球及び繁栄のための行動計画である。これはまた より大きな自由における普遍的な平和の強化を追求ものでもある。我々は 極端な貧困を含む あらゆる形態と側面の貧困を撲滅することが最大の地球規模の課題であり 持続可能な開発のための不可欠な必要条件であると認識する…我々は 世界を持続的かつ強靱な道筋に移行させるために緊急に必要な 大胆かつ変革的な手段をとることに決意している。我々はこの共同の旅路に乗り出すにあたり 誰一人取り残さないことを誓う」

また「保健」の分野では「身体的及び精神的な健康と福祉の増進並びにすべての人々の寿命の延長のために 我々はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と質の高い保健医療へのアクセスを達成しなければならない。誰一人として取り残されてはならない」とも述べています。

SDGsは国だけでなく NGOや市民たちがオープンに議論して作り上げたもので さらには企業も参加し始めています。
そうした企業は ビジネスモデルを環境重視に変え 市民と協力しながら すばらしいビジネスを生み出しつつあります。

ヘルスケア(医療・介護)の分野には まさに「一人勝ちのない世界」が求められています。
「市民・住民」が 医療・介護の専門家とともに「誰一人取り残さない」新しい未来を創造する歩みが ここ日本から始まることを願っています。

 

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