2014年9月号

ウエルビーコラム 2014年9月号

危機感を煽ってもビジョンは実現しない
有名経営者のパワハラ騒動は対岸の火事か!

大手エステサロン「たかの友梨ビューティクリニック」を経営する株式会社不二ビューティの髙野友梨社長が苦境に陥っているようです。
時事通信によると 高野友梨社長は 内部告発をした女性従業員を呼び出し 人前で長時間にわたり非難したなどとして 女性が所属する労働組合「ブラック企業対策ユニオン」が 宮城県労働委員会に不当労働行為救済を申し立てたとしています。
仙台店に勤務する20代女性が 6月に仙台労働基準監督署に残業代の未払いなどを申告したところ 同労基署は8月5日労働基準法に違反するとして是正勧告しました。  
髙野社長は その女性を飲食店に呼び出し 他の従業員がいる前で 2時間半にわたり「会社をつぶしてもいいのか」などと非難し 組合活動をやめることも迫ったため 女性は精神的なショックで出勤できなくなったとされています。

ブラック企業対策ユニオンは 組合活動をしていることを理由にパワーハラスメントを受けたとして 記者会見も開き「パワハラ時の録音」とされる音声記録を公開しています。
これに対し不二ビューティは「不当労働行為とされるような行為はしていない」とコメントしています。

髙野氏は 録音された会話の中で「つぶれるよ うち。それで困らない」「法律どおりにやったらサービス業は上昇しない」などと女性従業員に迫っています。
さらに文書で「会社を誹謗することは、自分のこれまで頑張ってきた道を汚すことだ」と述べ 最後は「会社は古い体質から生まれ変わろうとしています。会社の そして自分の歴史を汚さないでください。私を好いて 私を信じて ついてきてください」と結んでいます。
しかし これら一連の主張や発言は まったく心に響いてきません。

髙野友梨といえば 日本のエステ業界の草分けで オリジナル化粧品の開発や次世代セラピストの育成にも力を注いでおり 経営者としても一目置かれる存在です。
違法な行為について弁解の余地がないのは当然です。
しかし私が感じるのは「憤り」というより「悲しみ」です。
成功者として自他とも認めている経営者でさえ このような理不尽な要求を従業員に強いているという状況は残念としか言いようがありません。

多くのヘルスケア事業経営者も 職員に対して「危機感を共有してほしい」と願っています。
しかし それがかりに「危機感」という言葉に名を借りた 権力による「押し付け」や「恐怖」であれば 一時的には成果が上がったようにみえるかもしれませんが 理念の共有とビジョンの実現という目的からは「もっとも遠い場所にある」のだということを覚えておいていただきたいと思います。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

  • URLをコピーしました!
目次