2014年8月号
ウエルビーコラム 2014年8月号
行政マンの暑い夏
最大級の改革の影響は事業者に
「医療介護総合確保推進法」の成立をうけて 2015年度からの介護保険制度改革・地域包括ケアシステム構築に向けての国の動きが加速しています。
「社会福祉法人制度の在り方について」(報告書)公表(7/4) 「医療介護総合確保促進会議」発足・「福祉人材確保対策検討会」介護人材確保の方向性について「中間整理メモ案」提示(7/25) 「全国介護保険担当課長会議」開催(7/28) 「人材不足分野等における人材確保・育成対策推進会議」開催(7/29)…
これらに加えて 介護報酬改定に向けた「社会保障審議会介護給付費分科会」が月2回のペースで開催されています。
もりだくさんの課長会議の中でも とりわけ注目を集めていた事項のひとつが「介護予防・日常生活支援総合事業」(新しい総合事業)のガイドライン骨子案です。
地域支援事業に移行する訪問・通所サービスは「現行相当のサービス」「緩和した基準によるサービス」「住民主体による支援」「短期集中予防サービス」などに類型化されています。
さらに 要支援1・2の高齢者に予防給付による訪問介護と通所介護が継続されるのは 市町村が改革に踏み切った最初の年度だけで 2年目以降は 全ての利用者を地域支援事業の枠組みに移すこととされました。
また移行後新たに要支援認定を受ける利用者は 訪問・通所の予防給付を受けることができません。
サービスの単価や基準 利用者負担については 市町村に大きな裁量を委ねています。
ところが一方で 低コストの効率的な仕組みの構築を促すため 市町村ごとに費用の上限を設定する方針が明記されました。
これまでおおむね5~6%で推移してきた年間の費用の伸びを 75歳以上の高齢者の増加率である3~4%にとどめることをルールにしたのです。
さらには 上限を超えたら市町村に費用を負担させる仕組みも導入します。
訪問介護と通所介護を地域支援事業に移す時期は 地域の実情を踏まえて市町村の判断で決められますが タイムリミットは2017年4月です。
なるほど有岡宏・前厚生労働省官房審議官が今回の改正を「2000年の制度発足以来最大の改革」と評したことがうなづける大改革です。
この改革を担う最重要プレイヤーは「規範的統合」(地域包括ケア研究会報告書)の要となる基礎自治体(市町村)です。
地域包括ケアづくりの正念場となる今夏は ハードワークが続くことになるでしょう。
次に改革の矢面に立たされるのは まぎれもなく事業者です。
読み解くだけでも容易でない改革内容を自社の事業展開にどうつなげるか…。
経営者は眠られぬ夜を重ねることになるかもしれません。
※介護保険制度改革と報酬改定への対応を解説する「給付費分科会と老人保健事業報告書から読み解く報酬改定」セミナーを8月23日(土)に開催します。課長会議などの最新情報も交え 事業再構築の道筋を丁寧に解説いたします。
株式会社ウエルビー
代表取締役 青木正人