2016年6月号

ウエルビーコラム 2016年6月号

専門職の役割はエンパワメント!
住民主体の地域包括ケアのカギはここに

5月21日「地域包括ケアステーション実証開発プロジェクト 成果報告会」に出席しました。

このプロジェクトは 2015年10月「組織改革がイノベーションを起こす!?」 や 2015年5月「保守的なマネジメントは棄てる」 のコラムでもご紹介しているように「住み慣れた地域でのその人らしい暮らしの継続を支える持続可能な地域ケアに基づく 生涯を通じた患者中心・住民本位の統合ケアの実現を目指し 多主体多職種協働ケアチーム(地域包括ケアステーション)を実証的に開発すること」が目的とするものです。

この日はプロジェクト終了にあたり 全国38チームのうち8チームが 1年間を通して実践してきた報告を行いました。
この中で 複数のチームが「地域包括ケアにおける専門職の立ち位置」はどのようなものかという課題を掲げていました。

あるチームは 当初の事業計画に「地域住民の方々の身体的・精神的・社会的フレイルの予防」を位置づけ 事業を実施する地域の町内会へ話を持っていきました。必ず賛成してくれるはずと思っていたところ 期待に反して、同意が得られなかったそうです。
はじめの一歩でつまづいたチームのメンバーは 大きなショックを受けましたが くじけることなくリフレクションを行い そこから「目線の高い専門職の立場で地域に入ろうとした」という失敗の要因を導き出しました。
そこから「専門職である前に一人の人間として地域に入ろう」「職種を超えて一つのチームなろう」というスローガンを掲げるました。

別のプロジェクト・チームは「地域包括ケアステーション」を立ち上げるにあたって「どこの立ち位置で だれと連携し だれをエンパワメントするのか」が最大の課題となったと報告しています。
インフォーマルな社会資源やサービスを開発・充実させることを第一義とすればするほど 専門職が専門性をどう発揮するかという点で大きな矛盾が生まれてしまいます。
そこでの試行錯誤から生まれたのが「専門職は出しゃばらず エンパワメントする専門家に徹する」「安定ではなく 変化を受け入れ支える」「決めてくれる専門家から一緒に悩む専門家へ」という方向性でした。

報告後のトークセッションでも 世話人の西村周三・医療経済研究機構所長が 専門職によるエンパワーメントの重要性を指摘されていました。
地域包括ケアにおける住民と専門職の協働のカギがここにあります。

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