2016年4月号

ウエルビーコラム 2016年4月号

顔の見える関係を政府がつくる!?
理想・理念の共有が不可欠

2016年度診療報酬改定は「目玉がない」と言われますが 2018年度ダブル改定を視野に見ていくと 重要な改定が少なくありません。
その一つが「退院支援加算」です。
患者が安心・納得して退院し 早期に住み慣れた地域で療養や生活を継続できるように 保険医療機関における退院支援の積極的な取組みや医療機関間の連携等を推進するという目的で新設された入院医療における退院支援に関する評価です。
「退院支援加算1」では一般病棟入院基本料を算定している場合は600点 療養病棟入院基本料の場合は1,200点が それぞれ退院時に1回加算されます。
入院医療も統合した地域包括ケア構築という観点からは大きな意味のある改定事項です。
しかしその算定は決して容易ではありません。
定められた資格者を配置した退院支援部門を設置するという施設基準や入院後短期間で退院計画を作成するという算定要件などは地域病院にとっては 高いハードルだといえます。
私が注目するのは ハードルの高さではなく「顔の見える連携の構築」のための算定要件が設けられたことです。
「連携する保険医療機関・介護サービス事業者・居宅介護支援事業者の数が20以上で それらの職員と病院の退院支援・地域連携業務に専従する看護師・社会福祉士が年3回以上面会する」ことというものです。

医療連携・医療介護連携が遅々として進まないことに厚生労働省が業を煮やしたともいえますが 過保護の極みとはいえないでしょうか。
顔が見えれば連携が進むというのは幻想でしかありません。
その先にある理想や理念が共有されないかぎりは「地域を基盤とする統合ケア」=「地域包括ケア」(community-based integrated care)は 永遠に手のとどかない夢物語に終わってしまうでしょう。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

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