2018年7月号
ウエルビーコラム 2018年7月号
人と組織の目標が目に見える関係づくり
組織開発と医療・介護事業
今年も7月7日に「ODネットワークジャパン年次大会」が開催されます。
2016年8月の本コラム「地域包括ケアは統合から変容へ 成長と社会貢献の両立は可能か」でも触れたように、私も一昨年の大会に参加して、大いに刺激を受けてきました。
このように、近年、日本のビジネス社会においても「組織開発」(OD:Organization Development)という用語が市民権を得てきたようです。
組織開発とは、戦略や制度、構造といった組織のハードな側面だけではなく、タレント(人)や関係性といったソフトな側面に働きかけ、組織を変革していくアプローチのことをいいます。
これまでの経営学では、組織形態や管理手法をメインテーマとして「ハコ」(=組織図)として組織をとらえる前者のアプローチが主流でした。
しかし「組織を構成するのは人である」という事実をもとに、人と人、人と組織の相互関係に焦点をあてる後者のアプローチが注目されるに至りました。
米国のケン・ウィルバー(Kenneth Earl “Ken” Wilber Junior)は、内面と外面、そして個と集合という4つの領域(象限)を相互に関連するものとしてとらえる「インテグラル(統合)理論」(Integral Theory)によって、現代を代表する思想家として各界に大きな影響をもたらしています。
彼の主張を組織開発にあてはめてみたものが下の図です。
【組織開発の4象限】
この図は、人と組織の「内面的で個別的な次元」「内面的で集合的な次元」「外面的で個別的な次元」「外面的で集合的な次元」の4つの象限が、互いに影響を及ぼし合う相互関係にあることを示しています。
このような視点から医療や介護の組織の現状と課題を俯瞰してみると、さまざまな気づきを得ることができます。
たとえば「高齢者が最期まで自らの望む暮らしを継続するための支援」という目標を持った組織であれば、その実現には、組織制度や職務分掌といった外面的な要素だけでなく、理念・ビジョンといった「集合的な内面要素」はもちろん、(経営者・職員を問わず)個々のメンバーの価値観や固定観念といっいた「内面的でかつ個別的な要素」が大きく関係しているということがわかります。
また、ヘルスケア(医療・介護)の現状についても、次のように4つの象限で表現できます。
【ヘルスケアの4象限】
この4象限に優劣はありません。それぞれが相互補完的に「統合」(integrate)されることによって、ヘルスケアは進化していきます。
人と組織は分離して存在するものでもなく、個々の成員のあり方と組織の生み出すものが無関係でもありません。
人としての自己と組織の目標達成が「目に見える」形でつながっている組織こそが、ヘルスケアはもとよりすべての組織の進化の方向なのです。
※ 上記のような組織づくりをめざすすべての方を対象に、 少人数ワークショップ
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株式会社ウエルビー
代表取締役 青木正人