2003年3月号
ウエルビーコラム 2003年3月号
いつまで続く官尊民卑
営利法人と非営利法人にモラル・質の差はある?
「株式会社の病院経営参入問題をめぐっては厚労省が『利潤を追求するため もうかる治療に特化したりして医療費が高騰する』と強く反対」(朝日新聞)
「患者側からも医療従事者側からもプラスにならないのに あえてなぜ株式会社にしなければならないのか不思議に思っています。熱心に言う人が目指していることもよくわかりません」(坂口厚労相の談話・読売新聞)
と営利法人アレルギーが強いのですが 時代錯誤もはなはだしいとしかいえません。「営利」と「非営利」の違いは「剰余金の配当禁止」つまり利益の分配ができないことにあります。医療法人の理事長や役員の中には大企業の社長並みの給与を手にする人がいたり 不採算部門の小児科が不足しているなど 現実には「非営利」とはとても言い難い(赤ひげ先生などどこにもいない)実態があるのは誰もが知っていることです。
これは明治以来の 「官尊民卑」の思考が根強く残っている証拠でしょう。「官=非営利=善」「民=営利=金儲け=悪」というステレオタイプを官僚自身が捨て切れないでいる というのがこの国の悲劇です。
「多様な事業主体の参入」を進めているはずの 介護事業の分野においても同様です。「民」でも「官」でも 「営利」でも「非営利」でも 悪いものは悪く いいものはいい に決まっています。
にもかかわらず 介護事業者を対象にした鈴木亘氏(大阪大学)の研究でも 「①営利業者のサービスの質は 非営利業者と比較して遜色がないか むしろ高い可能性があるにもかかわらず ②非営利業者には『非営利プレミアム』とでもいうべき競争上の優位性が存在しており ③利用者は業者の選択に関して間違った行動をしている可能性がある」 ことがわかっています(「非営利訪問介護業者は有利か?」『季刊 社会保障研究』vol.38/2002年6月25日/国立社会保障・人口問題研究所)。
この現実を変革していくのは 事業者自身の日々の事業活動しかありません。「お上」や「制度」に目を向けるのではなく 利用者・顧客に向き合っていく事業経営者を応援するのが 私とウエルビーのミッションです
株式会社ウエルビー
代表取締役 青木正人