2003年5月号

ウエルビーコラム 2003年5月号

利用者第一主義のビジネスモデル
「顧客志向」では不十分「顧客視点」を持て

先日「マーケットアウトフォーラム」という集まりに参加しました。講師は 小さな金型商社を東証1部・年商500億円に育て上げ 昨年社長を退任した名経営者です。タイトルにある「マーケットアウト」というのは その方の造語で「市場や顧客そのものの視点に立ち そこから発想してビジネスを組み立てる」ということです。マーケティングで使われている「市場や顧客の方を見てものをつくり販売していこうとする」(マーケットイン)に対峙する言葉です。つまり「顧客志向」を超えた発想でビジネスを組み立て成功したということです。それまでの商社は「販売代理店」として「生産者(メーカー)の供給する製品を消費者に売り込む」という機能を果たしていました。かの経営者はそれを逆転させ自社を「購買代理店」と位置づけ「消費者の欲する製品を生産者に供給させ消費者に提供する」という機能に徹しました。従来型の生産者に対する「販売責任」を負うのではなく 消費者に対する「購買責任」を自らに課したのです。その結果 この会社は「営業マンのいない」商社として名をはせました。

マーケットインビジネス

《生産者・サービス提供者》 → 《販売代理店・居宅会支援事業者・他の介護事業者》

供給者の観点で顧客を見る


売り込み

 
マーケット
<消費者>
<顧客>
<利用者>

マーケットアウトビジネス

《生産者・サービス提供者》 ←
《購買代理店》
《居宅介護支援事業者・他の介護事業者》

顧客の視点で自分たちを見る


情報収集アセスメント

 
マーケット
<消費者>
<顧客>
<利用者>

この構図は まさに介護事業のビジネスモデルそのものです。居宅介護支援事業でいえば ケアマネには 利用者のニーズを満たすためにさまざまなサービスや製品を提供する責任がある ということです。ケアマネの使い勝手のよいサービスを並べただけのプランなら まさに「サービス事業者の代理店」でしかありません。顧客に対する責任を果たすためには 必要なサービスを「必要なときに(納期保証)」「必要なだけ(供給保証)」提供する。それが存在しないならば「作り出す(開発保証)」というのが求められる役割です。なにもこれは 居宅介護支援事業者だけにあてはまるものではありません。このような発想でサービス業としての介護事業を捉えたときに はじめてビジネスとしての発展性が生まれ 口先だけではない「利用者第一主義」が実現することになるのです。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

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