2003年7月号

ウエルビーコラム 2003年7月号

経営者の「3つの責務」と「3つの仕事」
制度の後追いを脱して自立経営を確立するために

今回の報酬改定で 居宅介護支援と訪問介護併設の事業所の中には いくつかの修正や決断を余儀なくされたところがあります。3類型から2類型に大きな変更が実施された結果 これまでいわゆる登録型ヘルパーの時給を 身体・複合・家事の3本立てにしていた事業所の多くは 見直しが必要になりました。一方 居宅介護支援については 報酬単価が上昇しましたが もともとが赤字ベースのこの事業では 単純に給与アップとはいかない側面もあります。 「ヘルパーの時給は切り下げ」「ケアマネの給与は据え置き」という判断は 職員を納得させモラールアップを図るという観点からは 決してお勧めできません。現実的には違った政策をとった事業者のほうが多いと思われますが なにより本質的な問題は これまで中長期的な展望にたった事業計画や人事・給与政策が立案できていたかどうかです。 つまり「介護保険の先取りは必要だが 介護保険の後追いは愚の骨頂」だということを経営者が理解できているかどうかということです。 制度頼み・行政頼みではない 自立した事業経営を行うためには「経営(マネジメント)の質」 もっといえば「経営者の質」の向上こそが欠かせない要素なのです。

経営者に求められる責務には 次のようなものがあります。

①業績に対する責務

②部下育成に対する責務

③業務や組織の変革・革新に関する責務

これらの責務を果たすには 経営者自身が何をなすべきかを明確に意識し それに向けて行動していかなくてはなりません。 そこで必要なことは まず「経営理念の確立」 あなたの事業所が 「何のために存在し」「どこへ向かおうとしているか」そのために「どのような方法で経営をしていくか」を明示 するものです。

次に「戦略の策定」

経営理念をもとに どのような方向で事業経営を計画・運用するのが戦略です。端的にいえば 多数の戦略目標に優先順位をつけその達成を図るのがマネジメントの役割です。ですから 経営資源の乏しい新規事業者や中小事業者ほどこの戦略目標の設定が重要な意味を持つことになります。

さらに「PDCAサイクルの確立」

設定した戦略目標が達成できたかどうかを検証し さらに次の目標を設定し実行していくために 絶えず業務を見直していかなくてはなりません。事業の「計画」(PLAN)⇒「実行」(DO)⇒「確認」(CHECK)⇒対策実行(ACTION)という一連のプロセスが「PDCAサイクル」といわれるものです。

この枠組みを確立するまでが 経営者の役割です。その後の戦術の決定やオペレーションは スタッフの役割となります。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

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