2003年10月号
ウエルビーコラム 2003年10月号
新たな「囲い込み」の足音が聞こえる
小規模事業者が生き残れない小規模多機能?!
先日長岡市(新潟県)で「レジデンシャルケア研究会議」が開催されました。
「『住まい』と『介護』二つの視点から新たなスタンダードがみえてくる…」というタイトルで 「2015年の高齢者介護」を踏まえたこれからの介護のあり方を論じるものでした。
主な論点は次のようなものです。
●介護の選択肢は 現状では 在宅か施設かの2つしかない。
●在宅の介護費は積み上げ式なのに対して 施設は定額払いの使い放題(丸め方式)である。
●365日24時間の訪問介護・訪問看護・3食の配食サービス・デイサービスなどを提供するサービス拠点が近くにあれば 地域で生活していても施設サービスと同じ内容のサービスが受けられる。
●施設で行われている内部完結型のサービスを 地域の小エリア(小学校区もしくは中学校区)に分散させ 地域の中で内部完結型のサービスを提供する。
●この拠点となるのが「通い」「訪問」「泊まり」「入居」の機能を併せ持ったタイプの施設(いわゆる第3カテゴリー)である。
このような視点に基づいて 「サテライト」あるいは「サポートセンター」といった名称で すでに実践を重ねている事例も紹介されました。
この議論から見えてくるのは
●特養をなくすわけではないといいながら 特養の機能を地域に分散させるという形で実質的な特養解体が進行していく。
●仮に定額払いの包括払いが実施されるとすると そのツケ(費用負担)はどこ(国・利用者・事業者)へまわされるのか。
●力をもった先進的な社会福祉法人・医療法人と一部のサービス事業者による新たな「囲い込み」が進行し 単機能しか持たないあるいはシェアの小さい事業者は「下請け」でしか生きられないのではないか。
という仮定や疑問です。
「常在変化」の介護ビジネスにおいては とどまることは許されません。将来を見据えて いまから何が必要なのか常に問いかけながら前進あるのみです。