2005年2月号

ウエルビーコラム 2005年2月号

地域を考える
ネット企業はなぜ地域を欲するか

ライブドアが ニッポン放送の筆頭株主になったという報道がマスコミをにぎわせています。このライブドアをはじめ 昨年大きな話題を提供したプロ野球の再編問題は 楽天やソフトバンクなどIT関連企業が主役になっています。

これらのインターネット関連企業は プロ野球球団の買収にあたって 異口同音に「地域密着」を強調していました。一見すると グローバルなインターネットと地域とは 相反するような印象を与えます。 しかし 実はこの2つには意外な相性のよさがあります。

ネット社会には「無秩序」「ただ乗り傾向」といった弱みがあります(最近の犯罪の傾向を考えるとよくご理解いただけると思います)。つまり インターネット社会の最大の弱点は「信頼関係」にあるのではないでしょうか。これを補完する要素として「地域」がクローズアップされてきているのではないかと考えます。地域(コミュニティー)には 共通の価値観や利益が厳に存在しています。これがネット社会のマイナスを補って「情報開示」「参加」「互助」といった 信頼関係のベースを構築することが期待されているのでしょう。

このような地域とネットとの良好な関係は 例えば愛媛県の松山に近い農村の町(喜多郡内子町)で行われている 農家の主婦がネットを利用して運営する直売所の例があります。2003年度の直売所販売額は4億1000万円。会員数360人なので 平均すると1会員あたり115万円を売り上げています。中には毎日出荷して1000万円以上売り上げる会員もあれば 時折お裾分けをする感覚で出荷する高齢者もいる ということです。

翻って 介護事業ではどうでしょうか。

「地域密着」は 国や行政機関そして事業者が口をそろえて強調するポイントです。しかし 本当に「地域」とは何か深く考えて行動している事業主体は どれほどあるのでしょうか。

営業エリアが小さな範囲に限られているという 与えられた空間的な制約(条件)をもって地域密着とは言いがたいでしょう。 地域のニーズというのは 個別のニーズの総合されたものではありますが それをただ単に加算(積み重ね)したものではありません。そこから見えてくる 地域に共通する(普遍的な)価値観や求められるものを把握できてこそ地域密着が実現できるのです。

地域で「こそ」生きる事業の意味と方向性を見つめなおしてみましょう。

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