2006年2月号
ウエルビーコラム 2006年2月号
介護報酬は思ったより下がらなかった!?
経営者に必要な歴史的な視点
開会した国会の争点は いわゆる4点セットに絞られているようです。中でもライブドア問題をめぐるマスコミ報道は 食傷気味といえるほど加熱しています。
小泉改革の「闇」というような取り上げ方もされています。 もちろん 堀江氏を衆議院選挙で応援した 自民党総裁や幹事長・総務大臣の責任は免れませんが このスキャンダルひとつで市場化の方向が変わるはずはありません。
多摩大学教授の田坂広志氏の近著『使える弁証法』には IT社会の様々な事例を交えながら ヘーゲルの弁証法を使って社会と市場の未来を予見する方法について 示唆に富んだ知見が述べられています。
同書では 2・26事件が例として取り上げられていました。5・15事件や2・26事件は 一部将校の反乱として制圧されたにもかかわらず 日本はその後も軍国主義化の流れが加速されていきました。
したがって ライブドアの証券取引法の違反や粉飾決算も 歴史の方向性を考えれば それがただちに 反市場主義や反株式時価総額経営の流れを生み出すとは思えません。
これと同じような誤りが 介護事業の業界にも蔓延しているように思えてなりません。
新しい介護報酬・基準についての 各事業者団体や職能団体の反応をみると 予想していた下げ幅を下回ったためか「取組みの成果」を強調した評価の高さに驚かされます。
ほんとうにそうなのでしょうか。大きな視点で 推移を俯瞰してみてください。
特養を筆頭とした 施設はその存在価値を見直されているのでしょうか。また 訪問介護の家事援助サービスは単価が下げられなかったからといって意義を評価されたのでしょうか。
事業をあずかるものとしては 目の前の小さな事象だけを捉えて一喜一憂しているわけにはいきません。
首の皮一枚つながったことで安心していては 大きなものを見失ってしまいます。
このような経営者の考え方・哲学が これから始まる優勝劣敗の差を決定的なものにするのではないでしょうか。