2007年8月号

ウエルビーコラム 2007年8月号

国や制度には頼れない
人材確保も事業者の自助努力しか道はない!

厚生労働省は7月26日 社会保障審議会福祉部会において 新たな「社会福祉事業に従事する者の確保を図る
ための措置に関する基本的な指針(人材確保指針)」(案)をまとめました。 同日 柳沢厚生労働大臣が社会保障審議会に諮問し 答申を経て8月中に告示される予定です。

旧指針では 社会福祉事業に従事する人材だけを対象としていましたが この間の社会・制度の変化を受けて 介護保険制度等におけるサービスに従事する人材も合わせた共通の枠組みで整理されているのが大きな特徴です。

人材確保の具体的方策としては 次の5点が示されました。
 (1) 労働環境の整備の促進等
 (2) キャリアアップの仕組みの構築
 (3) 介護・福祉サービスの周知・理解
 (4) 潜在的有資格者の参入の促進等
 (5) 多様な人材の参入・参画の促進
この日の会議では 新指針に対する感想や意見が述べられましたが 各委員から 「画期的だ」「満足できる」などなど 自画自賛の声が続きました。
私も日ごろから必要性を説いていた「キャリアパスの構築」など いくつか旧来みられなかった視点が加わったことは評価できますが この見直しの意義そのものまで疑わざるを得ないような内容が少なくありません。

たとえば (1)の「労働環境の改善」中 「給与等」の項目に経営者・関係団体等の責務として
「なお 給与体系の検討に当たっては (文字色赤ここから)国家公務員の福祉職俸給表等も参考(ここまで)とすること」
という記述があることには 驚きを通り越してあきれるほかありません。

大前研一氏は 「国家が国民をだます時代」になってきた。
それには
 「中身はそのまま 名前だけを変える」
 「国民に知らせない」
 「知らないふりをしてごまかす」
の3つのパターンがある と述べています。
新指針が このようなまやかしの道具とならないように祈るしかありません。

事業者の未来は「自ら事業の改革を積み重ねていくことにしかない」のは確かなようです。

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