2007年11月号

ウエルビーコラム 2007年11月号

プロフェッションの主張が聞きたい
匿名性に守られた「軽い」議論は百害あって一利なし

「闇サイト」を使った殺人や「学校裏サイト」によるイジメが社会問題化していますが インターネットそのものに問題があるのではなく  喫緊の課題はIT時代にふさわしいモラルの確立にあると思われます。 介護・福祉の分野でも 数多くの掲示板やブログ・メーリングリストが花盛りです。これまでなかなか表に現われることのなかった 現場の実状やホンネが伝わることは大いに結構なことです。しかし 愚痴や中傷も少なくはありません。匿名性は「諸刃の剣」です。業界の発展や改善を願うなら相応の責任をもった発言であってしかるべきではないでしょうか。

「介護サービス情報の公表」制度に対する事業者サイドからの評判は はかばかしくありません。「ただでさえ厳しい介護報酬から手数料を強制的に徴収されることに納得がいかない」という意見はもっともだと思われます。制度の矛盾や私なりの改善策は あらためて述べてみたいと思いますが なかには誤解や理解不足からくる暴論に近いものもあります。

代表的な意見が「コムスンの不正に公表制度は無力だった。それどころか調査情報項目はすべて『あり』だったではないか」というものです。 そもそもこの制度は不正を摘発するための査察ではありません。また 公表は「事業者の責任」において行われるのが大原則です。虚偽や捏造が発覚した場合は 事業者が責めを負うのです。 感情的な反発は不愉快なだけではなく 業界の未来にとっても有益とはいえません。

学生時代の恩師から詩を書くときに「思いやセンチメントをそのまま言葉にしたものは詩とはいえない。そんなものは自分吐いた『つば』のようなもので 人様に見せるなどもってのほかだ」と諭されたことがあります。 感性に訴える文学でさえ推敲が重要なのです。ましてや 専門職(家)の意見には それなりの重みがあってしかるべきでしょう。 業界や自らの専門性の向上のためには 事実に裏打ちされた建設的な主張・議論こそが求められます。

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