2008年4月号

ウエルビーコラム 2008年4月号

介護事業経営者に望まれる意識と行動
社会福祉法人のM&Aが具体化

先ごろ 厚生労働省は『社会福祉法人における合併・事業譲渡・法人間連携の手引き(案)』(社会福祉法人経営研究会編)を公表しました。
この手引きには「法人が 新たな時代の環境変化に対応して 経営を効率化し 安定化させるためには 法人全体で採算をとることが不可欠であり 複数の施設・事業を運営し 多角的な経営を行える『規模の拡大』を目指すことが有効な方策で…その取組みの一つの方策として『合併・事業譲渡・法人間連携の推進』が考えられ」るという 社会・援護局(中村秀一局長)の意図が 色濃く反映されています。
2006年に同じく社会福祉法人経営研究会が編んだ報告書『社会福祉法人経営の現状と課題』のめざす方向性を具現化したものであることは 一目瞭然です。
社会福祉法人にも 本格的な淘汰の時代が始まったといえます。

ところが ある団体の幹部の
「特養ホームの『経営』と言ってもらっては困ります。特養の『運営』と言ってもらいたい。社会福祉法人として運営してもらうのであって『経営』してもらうのではありません。その違いは必要です」(「福祉新聞」2007年8月6日号)
という発言にも見られるように 当の経営者たちのセンスは 時代からかけ離れたところにあります。

生活者・顧客にとっては 特養が解体されようがされまいが関係はありません。高齢化が進む社会の中で 自らが豊かな生活を営んでいくために必要な「生活の支援」が受けられるかどうか が問題なのです。
個々の社会福祉法人が「特別養護老人ホーム=社会福祉」と「介護老人福祉施設=社会保険」という2つの側面から生じる要請に応え その存在意義を「顧客・地域・社会」に訴え・認識させることができるか が生き残りの道です。

社会福祉法人経営者のみならず 介護報酬のアップだけを頼りに 事業の再構築に目を向けない営利事業経営者にとっても「対岸の火事」ではありません。
「ほねにも銘ずべし 心にも銘ずべし」(『重雲堂式』道元)

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