2008年6月号
ウエルビーコラム 2008年6月号
「官製不況」に打ち克つ知恵と工夫
事業者・経営者のグランドデザインが未来を拓く
トヨタが来期の減収減益予想を発表するなど 日本の経済は停滞・減速モードに投入しようとしています。大前研一氏は「日本が不況に向かう真の道筋・原因をつくったのは サブプライムローン問題ではない。役所・官僚・政治家である。つまりこの不況は『官製不況』と呼ぶのがふさわしい」と述べています。
氏によれば 政府は表向きの対策として 消費者保護や投資家保護・労働者保護などのルールをつくっていこうとしている。しかし 役人にとって企業とは「放っておくと悪いことをするもの」という存在でしかなく 「どうやって産業を伸ばすか」ではなく「どうやって産業を規制していくか」という方向に向かっている。これらプロジェクトはグランドデザインを欠いているため 一方的に企業を規制しては経済が悪化し ひいては肝心要の消費者保護も反故になるという懸念が強い といいます。
介護事業もまさに このような「官製不況」のスパイラルに陥っているのではないでしょうか。
その最たる例が 行政による「過剰な」あるいは「法をゆがめた」指導にあります。
ある保険者が 小規模多機能型居宅介護について「自家用車(無償)による 通いサービスの途中または送迎中での買い物は不可」という見解を示しています。同サービスは「あくまでも自宅を拠点にしたサービスであり 既存のデイサービスや訪問介護サービスを逸脱したものではないので 送迎時の病院立ち寄りや買い物は デイサービス同様認められない」というのが根拠になっています。
悲しいほど 小規模多機能型居宅介護の理念や存在意義を理解していないことが明らかです。小規模多機能型居宅介護は 既存サービスを単に足し算したものではありません。
これまでの垣根を越えた自由で多様なサービス提供によって 在宅での生活を支えるというのが目的なのですから。
このような誤った行政指導が「小規模多機能はが不採算」などといった風評の大きな原因のひとつです。にもかかわらず 現実には 全国で毎月70か所ずつ事業所が増え1,500か所を突破。介護費は前年の4倍 毎月5~26%の伸びを示しています。
真に小規模多機能を理解している介護事業者が少なくないことの現われでしょう。
事業者・経営者は 自らグランドデザインを描き 知恵と工夫と努力を重ね 「官製不況」を乗り越えていかねばなりません。
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