2009年10月号
2009年10月1日
ウエルビーコラム 2009年10月号
「政治主導」の意義は「国民本位」に
「復古」ではなく「前進」を
京都の歴史の長さを象徴的にあらわす小話に かの地では「先の戦」といえば 第二次大戦を指すのではなく 応仁の乱のことだった というのがあります。
これには 京都人の頑迷さや因習を揶揄するニュアンスが含まれています。
先日 ある出版社で「今般の不況下での経済対策に介護事業者はどう対応すべきか」というテーマで座談会が開かれファシリテーターを務めました。
その際「この間の政策の事業に与えた影響」を問うたところ 特養の施設長が 措置から介護保険制度へ移行したことによる経営の困難さを訴えはじめました。
そこで「先の戦」を思い浮かべた次第です。
その施設長は 決して頑迷な方ではなく 特養の中では先進的な運営を行っている施設であるだけに 驚きもひとしおでした。
10年を経ようとする介護保険制度が 一夕にして旧に復することはないとは思いますが いまだにパラダイムシフトを受け入れられない層が存在するのも事実です。
民主党による新政権が発足して「脱官僚主導」を合言葉に さまざまな政策転換が行われようとしています。 政策決定のプロセスをゼロベースで見直す「政治主導 」が「国民本位」を意味しているなら大賛成です。
長妻厚生労働大臣は 「後期高齢者医療制度」や「障害者自立支援法」の廃止を明言しています。 しかし それらが単にマニフェストの履行だけを目的に行われるべきではありません。財源の問題も含めた オープンな議論を積み重ねたうえでの建設的な結論と施策の決定を望みます。
時計の針を巻き戻すような愚だけは避けなければなりません。