2011年7月号

ウエルビーコラム 2011年7月号

現実を直視した建設的な解決策を
国民意識から乖離した政治プロセスは不毛

新聞各紙が報道しているとおり 政府・与党は6月30日「社会保障改革検討本部」の会合を首相官邸で開き 今後の社会保障と税制の基本方針となる「社会保障・税一体改革」の成案を正式に決定しました 。

主要各紙の社説のタイトルを挙げてみると次のようになります。
「社会保障と税 肝心な部分を玉虫色にするな」(読売新聞6月30日)
「税と社会保障-閣議決定で歯車を回せ」(朝日新聞)
「税と社会保障 決めた事はやり遂げよ」(毎日新聞)
「これでは一体改革の体をなしていない」(日本経済新聞)

程度の差はあれ 論調は厳しく政治の責任を追求しています。
○消費税率の引き上げ時期を 原案では「2015年度まで」とされてたのが「2010年代半ばまでに」とあいまいな表現に後退したこと。
○税制抜本改革の条件に「経済状況の好転」が付加されたこと。
○閣議決定が見送られたこと
などが指摘されています。

消費税10%アップについて 最大野党の自民党も同じ主張をしているにもかかわらず「選挙に負ける」と与党議員が政府案に反対したのは噴飯ものというしかありません。
国民の意識さえ「感知できない」「及ばない」人間に議員バッジをつける資格はありません。 

問題はそれより
「消費税10%アップでは現状の社会保障のレベルを維持できるかどうかも危うい」ことを政治が認識しているのか
またその事実を 国民に知らしめて行けるのか
にあります。

成案決定の前日には 経済産業大臣の諮問機関である「産業構造審議会」の基本政策部会(部会長:伊藤元重東京大学大学院教授)が「少子高齢化時代における活力ある経済社会に向けて-経済成長と持続可能な社会保障の好循環の実現」と題された中間取りまとめ案が発表されています。
この中では「主に利用サービスが炊事や清掃などの生活援助に割か れている傾向がある軽度の要介護者(要支援者及び軽度の要介護者) は保険給付の対象外とするとともに 特養への入所は より必要性 の高い重度の要介護者に重点化するなど 重度の要介護者に十分な 介護サービスを重点的に提供すべきである」と明記されました。

私たちは このような現実から目をそらすことなく解決策を模索しなくてはなりません。

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