2012年5月号

ウエルビーコラム 2012年5月号

250万人の職員が確保できるか
職員を雇用するのは国ではなく組織の魅力

「経済連携協定(EPA)介護福祉士候補者に配慮した国家試験のあり方に関する検討会」(座長:潮谷義子長崎国際大学長)が実施した 合格したインドネシア人介護福祉士へのヒアリングによれば「すべての問題の漢字に振りがなを振る」「母国語での試験の実施」「試験時間の延長」などの対策は望んでいないことがわかりました。

「過剰な振りがなは読みにくいだけで意味がない」、「母国語での試験に合格したところで介護現場で戦力となるのは難しい」「試験時間を延長し合格したとしても自分自身も周りの人も納得しない」という至極当然な理由です。彼らが指摘したのは「試験自体でなく支援体制に不備がある。日常的に学習支援を行っている施設への財政的な面も含んだ援助を行う方が合格者は多くなるのではないか」というものでした。

一方 経済産業省は「産業構造審議会新産業構造部会」(部会長:伊藤元重東京大学大学院経済学研究科教授)で 2020年までに医療や介護などの公的保険サービスでは 2010年時点に比べて約170万人増え 高齢者が引退することによる自然減を考慮すると250万人超の人材が必要になるとの予測を示しています(図参照)。

少子化の進むわが国で このような膨大な労働力を確保するのは至難の業というほかありません。
現状の枠組みのEPAで賄える外国人労働者の数など取るに足りません。
他産業からの労働力の大量移動 女性や高齢者の活用 移民の受け入れなど 抜本的な対策がなければ到底不可能です。

国にこの危機的状況に真剣に向き合うことを求めることも必要ですが 事業者自身が政策だけに頼っているだけでいいわけではありません。
経済成長は国や国の政策によって実現されるのではないと同様に 事業や産業の成否は 国家ではなく事業者・産業界が背負っているのです。

職員が喜んで就職したくなる 選ばれる事業者になるための責任は自身にあります。
たとえどのような社会・経済情勢であろうとも 事業の成長や成功を実現するために 魅力や活力のある職場・組織づくりは今から始めなくてはいけません。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

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