2013年2月号

ウエルビーコラム 2013年2月号

「ポストモダン」に生きる宿命
「地域包括ケア」に取り残される事業者

先ごろ 日本経済新聞の一面に「生保会社の現物給付解禁 金融庁介護や葬儀など保険金受給と選択」という見出しが躍っていました。

同紙によれば「保険業法は生保が保険金の代わりにサービスや物品を直接提供する『現物給付』を原則禁じている。金融庁は…年内にも…規制を緩和する。新しい保険は2014年以降に販売される見通しだ。規制緩和で新たに登場する保険として想定されるのは 介護が必要な状態になった契約者に公的保険で賄いきれない介護サービスや介護付き老人ホームへの入居を約束する保険…など。現物の提供は生保本体に認めないが 子会社や資本関係のない提携先には認める」ということです。

時事通信のインタビューで 明治安田生命保険の松尾憲治社長は介護施設の運営事業について「今後4~5年で1,000室にすることを目標に取り組んでいきたい」と語っています。
同社は昨春「高齢化の進展による介護ニーズの増大に対応し…介護保障分野を死亡・年金・医療保障に次ぐ「第4の柱」として位置付け介護関連サービスの提供を検討」してきたとして介護付有料老人ホームを運営する株式会社サンビナス立川を子会社化しています。

また国土交通省は昨秋「ヘルスケア施設供給促進のための不動産証券化手法の活用及び安定利用の確保に関する検討委員会」を立ち上げ 有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などを証券化し 国内でのREIT(リート:不動産を主要投資対象とする投資信託。株式と同様に証券取引所に上場され売買が可能)創設に向けて動き出しています。

「地域包括ケア」にもっとも敏感に反応しているのは 既存の介護事業者ではなく 金融機関を筆頭とした異業種のほうだというのが現実です。
「大手企業が本格的に参入してくれば 中小零細が中心の介護事業者は立ち行かなくなる」という紋切り型のコメントをするつもりはありません。
異業種大手が成功するかどうかは定かではありませんが 今後の事業の成否は 大きなパラダイム転換がはじまっていることを認識しているかどうかが左右します。

なにもこれは介護事業に限った話ではありません。
わが国さらには世界が「ポスト近代化」へ大きく舵を切っているからです。
それが理想社会なのか夢のない社会になるのかは 私たち自身にかかっているのです。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

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