2013年4月号
ウエルビーコラム 2013年4月号
資格万能から実力主義へ
生活支援サービス事業へ脱皮の条件
昨年11月のこのコラムで触れた「介護福祉経営士」(主催:一般社団法日本介護福祉経営人材教育協会)の第1回資格認定試験が今月実施されることになりました。
「介護現場から次代の経営を担う人材が輩出してほしい」という 私のミッションと重なる資格として大いに期待をし協力もして行こうと考えています。
テキストの執筆だけでなく 資格説明会や養成講座の講師を札幌・仙台・名古屋・金沢そして東京で務めています。
受講者数も予想を超えており熱意の高さが感じられ 将来への明るい展望を抱かせてくてます。
ところが 一部の講座参加者が「認定試験に合格するためだけの講義をしてほしい」という希望を持っているということを知り 釈然としません。
協会には失礼な言い方かもしれませんが 新設の民間資格を「取得するだけ」では 今のところは何のメリットもありません。
求めるべきは「マネジメントスキルの向上」であるはずです。
ましてや マネジメントというプラクティカルなスキルであれば 資格の有無以上に自らの実力が求められます。
しかも 介護という事業としては揺籃期にある分野であれば「知識」や「定石」の範囲や真偽も明確ではなく「これさえあれば」という教科書などあろうはずもありません。
課題に対峙する経営者・マネジャーには “How to”(どうすればいいのか) だけでなく “What to”(なにをすればいいのか) と “Why”(なぜそうすべきなのか) を追求する姿勢が不可欠。
講座の内容は “study”(学習する)ではなく “learn”(身につける) することが目的だ と講義の冒頭で話していますが 理解されていないのでしょう。
「手段」を「目的化」しがちなのは 人が陥りやすい過ちのひとつでしょう。
それに加え「資格万能主義」という悪弊が 業界の一部にはびこっているのかもしれません。 介護福祉士であれ医師であれ さらには教師でも 資格は必要条件ではありますが 十分条件ではありません。
介護職の一部に「ケアマネが上がり」という風潮が見受けられるのも同じ土壌かもしれません。
けれども「『パラダイムが変わっている』ことを意識している新しい介護(生活支援サービス)事業者の萌芽が感じられた喜びや期待」のほうがはるかに勝っていることを付け加えておきます。
株式会社ウエルビー
代表取締役 青木正人