2013年5月号

ウエルビーコラム 2013年5月号

「準市場」が淘汰するものは?!
訪問介護の続いて通所介護が標的に!

先週 再開された地域包括ケア研究会(座長:田中滋慶応義塾大学大学院教授)が「持続可能な介護保険制度及び地域包括ケアシステムのあり方に関する調査研究事業報告書-地域包括ケアシステムの構築における今後の検討のための論点」を発表しました。この数年間で「進化」した地域包括ケアシステムの基本的な考え方の論点を整理したものです。

第3部「地域包括ケアシステムにおけるサービスのあり方」では 個別のサービスごとの介護保険給付のあり方についても言及があります。
通所介護に関する問題として「通所介護の給付費は年間1.3兆円に達しており 全サービスの15.7%を占めている『人気サービス』」に成長している」と 皮肉交じりに その成長度を認めています。

続けて「小規模の事業所は介護報酬単価が高く…事業者にとっても資本回収が比較的容易な事業として魅力的なサービスになっているものと考えられる」「小規模な通所介護サービス事業所が増加し 通所介護の給付費が増えている現状を踏まえ…通所介護の給付全体の効率化を図るような方策について検討が必要ではないだろうか」と報酬見直しの見直しを示唆しています。

さらに「報酬額算定の要件」という項目では「一日あたりの介護報酬は 通所介護の方が介護老人福祉施設と比べ高額となっている。…主に日中のレスパイト機能を提供する通所介護に対して施設より高額の費用を投じることの是非について 改めて検討する必要があるのではないだろうか」とより直截な表現となっています。

加えて4月22日に開催された第10回「社会保障制度改革国民会議」に提出された参考資料には「通所介護費用が急増している。」というタイトルで通所介護の給付費切り下げをアピールするようなグラフが以下のように示されています。

いずれも「風船バレー批判」に代表される 通所介護が「レスパイト」以上の役割を果たしれいないという政府の認識が表れています。

「うちのデイは違っている…」と不満を抱く事業者もいるでしょうが これが「制度ビジネス」です。

市場原理を導入した当初は「競争原理が事業者を淘汰する」と考えられていましたが「準市場」の公的保険ビジネスでは「政府が(民間)事業者を駆逐する」という厳しい現実が示されることになるのでしょうか。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

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