2013年11月号
ウエルビーコラム 2013年11月号
既存事業者が縮んでいく!?
互助と共助が重なるビジネスモデルが誕生
介護保険法改正の基本方針を審議する社会保障審議会も 10月30日の第51回会議から第2ラウンドに入りました。
ここまでの流れの中で強く感じるのは 厚生労働省(官僚)も「腹をくくって審議会に臨んでいる」ということです。
たとえば2012年介護保険法の改正に向けた議論でも 利用者負担の引き上げがテーマになりましたが 当時は「無理だな」という雰囲気を強く感じました。
これに対して 今回の審議では最初から「2割負担は当然」という姿勢が垣間見えます。
現在の安倍晋三政権の基盤がここ数年の内閣で最も安定していることを前提に 社会保障改革制度の改革を進めたい「いつやるか?今でしょ!」という意識を持っているようです。
たとえば 要支援者に対する予防給付から移行する「新しい総合事業」は既存の介護事業者にどうのような影響を与えるのでしょうか。
この事業は 一定の事業者への委託だけでなく 市町村が認定によって事業者を特定し それが事業を実施した場合に費用を支払行うという 現行の予防給付と同様なルールも設けられる予定です。
これで 現行の訪問介護や通所介護の事業者は安泰かというとそうではありません。
事業単価が市町村裁量により決定されるという「下振れリスク」に加え 低単価でも事業を行えるNPOやボランティアさらには介護事業を行っていないスポーツクラブなどの民間事業者との競合が激化するのは必定です。
介護事業者がこのパラダイムシフトに対応していくには 地域も「互助」を担っていくセクターと対立するのではなく「協力しバックアップしていく」ことが大切になります。
彼らは敵対や反目すべき対象ではありません。 地域を支える同志です。
介護事業者が「企業市民」(corporate citizen) という意識を持てば 事業領域が縮むことはありません。
人員基準や運営基準の緩和は 非営利組織だけでなく介護事業者にもメリットをもたらします。
さらに「互助」を支えるセクターの中心は団塊の世代です。
彼らの意欲や力を地域に還元する仕組みや居場所づくりに積極的に協力することで 地域の中に将来的な需要を獲得することができます。
これからは「互助」と「共助」の垣根が限りなく小さくなる「循環型生活支援ビジネスモデル」が誕生するはずです。
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改革のキーマン山崎泰彦社会保障審議会介護保険部会長を迎え いち早く事業の羅針盤をお示しします。
株式会社ウエルビー
代表取締役 青木正人