2013年12月号
ウエルビーコラム 2013年12月号
儲けすぎといわれる前に
社会福祉法人のレゾンディーテルを問い直そう
社会福祉法人のガバナンスとイコールフッティングについて議論が盛んに行われています。
厚生労働省の「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」(座長:田中滋慶応大学大学院教授)に加え 内閣府の「規制改革会議」でも俎上にのぼっています。
「社会福祉法人は非営利性や公益性を理由に 法人税や固定資産税が非課税と優遇されている。経常収入に対する黒字比率は6%程度。12年度で5%弱だった東京証券取引所上場企業の平均経常利益率を『安定して上回る高水準』」(11月27日付け日本経済新聞)とも報道されています。
11月27日の規制改革会議でも 上記のデータをもとに「市場規模・財務内容不明のまま公費投入・非課税優遇は不合理」という意見が述べられました。
財務諸表の公開状況についても 調査によれば ホームページがある12,672法人のうち 貸借対照表および収支計算書の全てもしくは一部を公表している 法人は38.5%にすぎません。
いまさら「インターネット上での公表を義務化する」というのは遅きに失した感があります。
しかし「社会福祉法人は儲けすぎだからけしからん」という論法には組みすることはできません。
言うまでもありませんが 社会福祉法人のレゾンディーテル(存在意義)は社会貢献・地域貢献にあります。
地域に収益を還元することは義務であり そのための経済活動は不可欠だということです。 社会貢献が大きな法人は利益率が高くなるのは当然でしょう。
いわば 当たり前の理屈が通らなくなっていること自体に課題があります。
「李下に冠を正さず」ではありませんが 地域貢献とは程遠い事業行動しかとり得ていない法人が少なくないことが根本的な問題です。
義務化されたから行動を起こすという法人は退出すべきです。
自ら積極的に存在意義を社会と地域に問う姿勢を見せてほしいものです。
株式会社ウエルビー
代表取締役 青木正人