2015年4月号

ウエルビーコラム 2015年4月号

経営を知らない管理職がいる業界
研修機会は国ではなく自ら作る

今日から4月。報酬改定後のQ&Aもまだ発出されず 昨年末の総選挙以来の押せ押せ感が充満した新年度のスタートです。
昨日の日本経済新聞の一面は「介護大手 相次ぎ賃上げ 深刻な人手不足改善 報酬改定分に上積みも 」という見出しで 大手介護事業者が規模のメリットを生かして人材獲得に動いているというと伝えています。
他方 同じ日の日経に 2013年8月マザーズに上場した株式会社N・フィールドが取り上げられていました。 掲載面は「投資情報欄」です。

同社は 大阪を拠点に精神疾患患者向け訪問看護を手がけ 利用者は4,000人超と過去2年で倍増 15年12月期の営業利益は3割増の約6億円を見込むなど3連続で過去最高益を更新する見通しです。
ネット上の株価の口コミでは「日経新聞にも掲載されたの? やっぱ介護関連は抑えたい!」という書き込みも見られます。
政府の市長戦略も後押しし ヘルスケア関連の事業はもはや特異な存在ではなくなってきつつあります。

しかし 同紙によると「課題となるのが中間管理職の育成」。
同社の社長は「『看護師の上に立つのは看護師であるべき』との考えから 看護師から事業部門の部長級を育てる方針だ。だが看護師が経営を学ぶ機会は少なく『管理職研修の内容を充実させることが重要』」と指摘しています。

先ごろ発表された「介護事業所における中間管理者層のキャリア形成に関する研究会 報告書」(介護労働安定センター)でも「中間管理者層(上級)に不足する資質・能力」として「業務を適切に遂行する力」や「人とチームの能力・活力を上げる力」などマネジメント全般の能力が指摘されています。

同様に「福祉施設長のあり方に関する検討会 報告書」(全社協)でも「めざす福祉施設長像」として「必要な経営資源(ヒト・モノ・カネ・トキ・シラセ)の課題を発見し 解決に取り組むこと」が取り上げられています。

マネジメント力の必要性とそれを学ぶ機会の必要性・重要性は もう十分に認識されているはずですが 実態はまだお寒いといえます。
2025年に向け国がまとめる「介護人材確保のための総合的な確保方策」においても この視点が取り込まれることを切に願いますが それ以上に事業者側の自助努力・積極的な取り組みがより重要です。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

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