2017年6月号

ウエルビーコラム 2017年6月号

財政的インセンティブの副作用に配慮を
本格化する介護保険事業計画策定

5月26日「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。ここから、政省令から通知に至るまで具体的な運営方針が示されることになります。
今回の改正法の見直し内容の第一に掲げられているのが「保険者機能の抜本強化」です。

最優先事項とされる「自立支援と重度化防止」には、保険者機能の強化が欠かせないとして、次のような改正事項が盛り込まれました。
① 介護保険事業(支援)計画の策定に当たり、国から提供されたデータの分析の実施
② 介護保険事業(支援)計画に介護予防・重度化防止等の取組内容および目標を記載
③ 都道府県による市町村支援の規定の整備
④ 介護保険事業(支援)計画に位置付けられた目標の達成状況についての公表および報告
財政的インセンティブの付与の規定の整備

つまり、パフォーマンスの優れた自治体には財政的な支援が行われるというものです。
本格化しはじめた各自治体の第7期介護保険事業計画の策定作業においても、この目標設定とインセンティブの内容は大きな関心事です。

保険者の機能を評価する具体的な指標はまだ示されてはいませんが、社会保障審議会介護保険部会での議論や厚生労働省の研究調査事業などからおおよそのフレームワークはうかがうことができます。
地域包括ケアシステムを「深化」させるために、PDCAサイクルによる「地域マネジメント」の到達度合いを「アウトプット(プロセス)指標」と「アウトカム指標」を設定し評価するという方向性です。

ここでいうアウトプット(プロセス)指標とは、取組の具体的な活動量・実績経過を測定する もので、アウトカム指標とは、取り組みの成果を示す指標で、アウトカム指標はアウトプット指標と連動しながら設定されるものです。

たとえば、広島県は国に先駆けて地域包括ケアシステムの評価指標を示しています。地域マネジメントの進展は、地域包括ケアは欠かせない原動力ですが、地域ごとに異なる地域包括ケアを画一化させないこと、財政的なインセンティブが達成度の低い自治体に実質的なディスインセンティブとして作用しないための配慮がなによりも大切です。

株式会社ウエルビー 
代表取締役 青木正人

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