2020年2月号
介護給付は地域支援事業に吸収される!?
全世代型社会保障検討会議中間報告から見えるもの
12月19日、政府の「全世代型社会保障検討会議」の中間報告が公表されました。
各紙誌の報道では「抜本的な改革とは言えない」「骨抜き」「踏み込み不足」など、厳しい評価が目立っています。
【75歳以上の高齢者の医療費の窓口負担割合】
医療については、 ①現役並み所得の方を除く75歳以上の後期高齢者(単身世帯では年収383万円未満)のうち一定所得以上の方の医療費の窓口負担割合を2割とする。
②他の医療機関からの文書による紹介がない患者が大病院を外来受診した場合の患者負担額を増額するとともに、対象病院を病床数200床以上の一般病院に拡大する
という、2つの患者負担増を明記しました。
2割負担の対象が「一定所得以上」という曖昧な線引きになったことや「受診時定額負担」(ワンコイン負担)導入は、見送られました。
介護については、見出しが「予防・介護」とされたことが注目されます。
その方策についても、「保険者努力支援制度の抜本強化」「介護インセンティブ交付金の抜本強化」「エビデンスに基づく政策の促進」と、ほぼ介護予防一辺倒になっています。
「この背景には、予防と介護予防について保険者や自治体へのインセンティブを付与・強化すれば、医療費や介護費を抑制できるとの『エビデンスに基づく』ことのない期待・幻想がある」(二木立・日本福祉大学名誉教授)との指摘が気がかりです。
とりわけ目を引くのは、「年齢にかかわらず、学び、働くことができる環境を整備すれば、生産年齢人口が減少する中でも、就業者数を維持できる」という記述です。
「人生100年時代の到来、ライフスタイルの多様化、技術の進展といった世の中の変化をチャンスとして捉え、全ての人が個性を活かすことができる社会を創れば、少子高齢化という大きな壁も克服できる」という文言の通り、積極的な社会構造改革に取り組む決意であってほしいと願わずにはいられません。
この夏の最終報告までに、検討会議で具体的な議論を深めていってほしいと思います。
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株式会社ウエルビー
代表取締役 青木正人