2020年6月号

わからないということに向き合う勇気
ウイズコロナ・ポストコロナのマインドセット

世界 11か国、約13,200 人を対象に実施した「2020 エデルマン・トラストバロメーター 中間レポート(5月版):信頼とCOVID-19パンデミック」(2020 Edelman Trust Barometer Spring Update: Trust and the COVID-19 Pandemic) 信頼度調査が公表されました。

この中で、わが国に特徴的な傾向がいくつか見られました。
新型コロナウイルスによるパンデミックの中、日本以外の全ての調査対象国において、政府に対する信頼度は記録的とも言えるほど上昇しているのに対して、調査対象国の中で日本だけがこの傾向に逆行しています。
また、その政府に求める最優先事項は、たとえ経済が大きな打撃を受けその回復に長い時間がかかるとしても、できる限り多くの国民の命を守ることであると回答した日本人は76%に上り、調査対象国の中で最も高い数値となりました。
           【自国国民優先の援助】

一方「世界的企業のCEO が最優先すべきことは、自分の権力とリソースを利用して、支社が所在する国の国民よりも、本社所在国の国民を、優先的に援助することである」という問いに「賛成する」と回答した人の割合は、11か国の平均が60%なのに対して、日本では33%と調査対象11カ国の中で最も低い結果となりました。

調査会社の代表は「多くの人々がビジネスリーダーに『ジャパン・ファースト』のアプローチを期待しているのではなく、自国の利益よりも世界全体の利益に焦点をあててほしいと願っていることに、私は大変勇気づけられました」と述べています。

                     【パンデミックの捉え方】
さらに日本から世界に視野を広げてみると、多くの国々の人が困難に屈することなく、未来を前向きにとらえていることがわかりました。
「このパンデミックを乗り越えることで、生活や仕事の方法や人と人のつながりを改善する上で有益なイノベーションや変化が生まれる」と回答した人の平均が64%に上っていたのです。

現在、ウイズコロナ、あるいはポストコロナの姿についての議論が盛んです。
今の状況では、不確定な要素を排して「これが確かだ」「これが正解だ」と断言したり、正確な未来を予想することは困難でしょう。
しかし、人類はこれまでも、パンデミックや世界大戦、大災害といったさまざまな困難に遭遇してきました。
それらを克服できたのは、「わからないということに向き合う勇気」を持っていたからではないでしょうか。
ペシミステイックになりすぎず、エゴイスティックにもならず、未知の不安に真摯に向き合うといってもいいかもしれません。

そうした英知やマインドセット(心構え)は、ペストや戦争を経験していない私たちの中にも、遺伝子として受け継がれているはずです。
4月のコラムで触れた「不和と不信」ではなく「信頼と団結」というユヴァル・ノア・ハラリ氏の言葉の意味を、もう一度かみしめてみたいと思います。

                                  株式会社ウエルビー 
                                  代表取締役 青木正人

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