2021年10月号
アマゾンがサブスクで介護サービス!?
中長期の課題に一貫して取り組む姿勢を
【Alexa Togetherのイメージ画像】
驚いて内容を読んでみると、「自立した生活を送っているものの、特別なサポートを必要とする可能性がある高齢の家族を持つ家族のために設計された新しいサブスクリプションサービス」だということです。
要は、「アレクサ」(音声を使ったAI)を活用した見守りサービスです。
ハンズフリーで24時間365日、緊急ヘルプラインにアクセスすることができる緊急対応機能も搭載されており、高齢の家族が自宅で転倒したりするなどの緊急事態が発生した場合、アレクサはそれに応えて、家族や隣人などアカウントに接続されているすべての人に警告を発するというものです。
ちなみに料金は、月額19.99ドル(約2,200円)となっています。
ICTとサブスクは相性がいいのはよくわかりましたが、これは米国の話で、多くの見守りサービスが開発されているわが国では競争力に乏しいのではないかと考えられます。
サブスクといえば、介護保険の施設サービス、地域密着型の(看護)小規模多機能型居宅介護や定期巡回・随時対応型訪問介護・看護などは包括報酬で、サブスクリプションサービスともいえます。
2017年の地域包括ケア研究会の報告書「2040年に向けた挑戦」や2015年度の介護報酬改定を審議した社会保障審議会給付費分科会では、居宅サービスについては一つひとつで完結するものではないため、地域単位でのサービス提供ついて議論が行われていました。
当時の「平成27年度介護報酬改定に関する審議報告」でも、「現行の事業所単位でのサービス提供に加えて例えば地域単位でのサービス提供の視点も含め 事業所間の連携の進め方やサービスの一体的・総合的な提供の在り方についても検討する」ことが、今後の課題として提起されています。
そうした体制を敷いた場合は包括報酬が想定されるため、適用範囲の拡大が進められるのではないかと感じていました。
ところが近年、給付費分科会でもそうした中長期を見据えた議論が絶えて久しいように思われます。
今般の介護報酬改定が新型コロナウイルス感染症対応に重点を置かざるを得なかったのは当然としても、直面する人材と財源の二重の不足に向き合うためには、介護サービス提供体制の見直しが不可欠な視点ではないかと感じられます。
株式会社ウエルビー
代表取締役 青木正人