2022年5月号

人員基準緩和の可否を問う事業公募開始
エビデンスベースの公正な議論を

【実証のスケジュール】

厚生労働省による、テクノロジーやデータを活用した生産性向上に関する実証事業の公募が開始されました。 「令和4年度介護ロボット等による生産性向上の取組に関する効果測定事業」の名称で、介護事業所に対し介護ロボット等による生産性向上の取組の効果実証を実施し、介護報酬改定のためのエビデンスの収集等を行うことを目的としています。

実証テーマは、①見守り機器等を活用した夜間見守り ②介護ロボットの活用 ③介護助手の活用 ④介護事業者等からの提案手法、の4つですが、注目は④の「介護事業者等からの提案手法による生産性向上の取組に関する実証」に集まっています。

昨年末の内閣府の規制改革推進会議「第7回 医療・介護ワーキング・グループ」での「介護施設の人員配置基準の見直し」議論が発端となった実証事業です(2月の月刊コラム「人員基準の緩和議論は千載一遇 思い込みを排し現実を評価・分析」参照)

このWGでプレゼンテーターとなったSOMPOケアの次のような提案が、事業公募の発端となりました。
介護職員不足に向けて、新しい基準を検討してはどうか
先進的な事業者から規制を緩和し、モデル事業を通じて全国展開し、新しい人員配置基準を検討してはどうか
●介護業界全体に対しては、条件付きの規制改革から開始してはどうか
【規制改革推進会議での提案内容】

この提案を受けて規制改革推進会議は「厚生労働省における実証を通じて、実際に介護の質が維持されること、介護職員の負担増につながらないことが客観的に検証される必要がある」と議決し、社会保障審議会介護給付費分科会も了承しました

対象サービスは特養、老健、介護医療院、特定施設、短期入所(療養)介護、GHで、10程度の施設で実施が予定されています。
詳細は、公募情報をご覧ください。
意欲のある事業者には、進んで応募してもらいたいと思います(5/18締切)。

どのような結論がもたらされるにしろ、賛否を問う前の根本的な検討のためにはエビデンスが欠かせません。
その上で、公正な議論が透明に行われるという、当たり前のことがスタンダードになってはじめて、将来の希望が語られることになります。

                                  株式会社ウエルビー
                                  代表取締役 青木正人

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

  • URLをコピーしました!
目次